古着に抵抗がなくなった理由|「誰かが着た服」が物語のある服に変わるまで

木のスツールに重ねた白と紺のニットと一枚の枯れ葉

朝晩の空気がひんやりしてきて、クローゼットの奥から厚手のニットを引っぱり出す季節になりました。「サステナブルな服選びはしたいけれど、古着はにおいや清潔さが気になる」「知らない誰かが着ていた服に袖を通すのは、なんとなく落ち着かない」。そんな気持ち、ありませんか。

そう感じる人は少なくありません。それでも、気になる理由をひとつずつ分けて考えてみると、古着屋さんをのぞく時間が楽しみに変わることもあります。この記事では、古着への抵抗感を「気にしすぎ」と片づけずに、その中身をひとつずつ分けて、小さな工夫でほどいていくヒントをまとめました。

前半では、抵抗感を「清潔さ」「におい」「サイズ感」「前の持ち主の気配」の4つに分けて見ていきます。後半では、今日から試せる選び方と洗い方のアイデア、続けるコツ、そして「無理に古着を選ばなくていい場面」もお伝えします。

1. 衣替えの季節に、古着のことを考えたい理由

白い背景の前に、色違いのニットが畳んで重ねてある

衣替えは、手持ちの服と向き合う季節です。去年のコートはまだ着られるか、ニットは毛玉だらけになっていないか。足りないものが見えてくると、新しいアウターを買おうかな、という気持ちも湧いてきます。

そのときに思い出したいのが、服には「次の人に渡す」という道もある、ということです。まだ着られる服が誰かの手に渡れば、その一着は捨てられずに、もう一度暮らしの中で役目を果たせます。新しい服をつくるには、素材を育て、糸にし、布に織り、縫い、運ぶまでに多くの資源とエネルギーが使われます。すでにある服を着ることは、その流れの中に「循環」の輪をひとつ加えることでもあります。

服とサステナビリティの関係をもう少し広く知りたい方は、サステナブルファッションについてまとめたコラムもあわせて読んでみてください。

とはいえ、頭で「いいこと」だと分かっていても、気持ちがついてこないことはありますよね。まずは「なぜ抵抗があるのか」を分けて考えてみましょう。

2. 古着への抵抗感を、4つに分けてみる

「なんとなく嫌」というモヤモヤは、ひとかたまりのままだと手の打ちようがありません。でも分けてみると、気になっていることは意外とはっきりしていました。

2-1. 清潔さ:きちんと洗われているのか分からない

いちばん大きかったのは、これです。お店に並ぶまでにどんな手入れがされているのか、見ただけでは分かりません。仕入れた服をどこまで手入れしてから並べているかは、お店によってさまざまです。気になるときは、お店の人に聞いてみるのがいちばん確かです。そして、自分で洗えるものは「買ったら一度洗う」と決めてしまえば、この不安はかなり小さくなります。

2-2. におい:独特の香りが苦手

古着屋さんに入ったときの、あの独特のにおい。苦手に感じる人は少なくないと思います。においの多くは、前の持ち主の洗剤や柔軟剤、保管されていた場所の空気が布に残ったものです。洗ったり、風通しのよい場所で陰干ししたりすることで和らぐことが多いので、「においがあるから無理」と決めつける前に、手入れでどうにかなる範囲かどうかを見るようになりました。

2-3. サイズ感:返品しにくそうで、失敗が怖い

古着は基本的に一点もので、同じ服のサイズ違いはありません。年代や国によってサイズ表記の感覚も違うので、タグの「M」が自分にとってのMとは限りません。ここは「失敗しない工夫」で解決できる部分です(後半で紹介します)。

2-4. 前の持ち主の気配:知らない誰かの存在が気になる

最後に残ったのが、言葉にしにくいこの感覚です。清潔でも、においがなくても、「誰かが着ていた」という事実そのものが気になる。これは理屈で消すものではなく、感じ方が少しずつ変わっていくものだと思います。ていねいに付け替えられたボタンや、裏地の繕いのあとに気づくと、「知らない誰かの気配」が「大事にされてきた服の物語」に見えてくることもあります。

3. 抵抗を少しずつほどく、小さな実践のアイデア

いきなり古着で全身をそろえる必要はありません。抵抗感の中身に合わせて、できそうなものからひとつ試してみてください。

3-1. 肌から遠いアウターやニットから始める

シャツやインナーのように肌に直接ふれる服より、コートやジャケット、セーターの上に着るカーディガンなど「肌から少し遠い服」から始めると、気持ちのハードルがぐっと下がります。ちょうど秋冬はアウターを探す季節。古着デビューにはぴったりのタイミングです。

  • 所要時間:お店で30分ほどのぞいてみるところから
  • 費用感:まずは一着だけ。気に入らなければ次はやめればいい、くらいの気持ちで
  • 向いている人:清潔さや「誰かの気配」がいちばん気になる人

3-2. 明るい場所で「襟・脇・袖口」を見る

汚れや傷みが出やすいのは、襟まわり、脇、袖口、裾です。できれば自然光が入る窓際などで、裏返して縫い目やボタンの付け根まで見てみましょう。においが気になる人は、顔を近づけて確かめるのも大事な確認です。じっくり見て納得できた一着は、それだけで「よく分からない誰かの服」から「自分で選んだ服」に変わります。

  • 所要時間:一着あたり数分
  • 費用感:かからない
  • 向いている人:清潔さやにおいが気になる人、失敗を減らしたい人

3-3. 手持ちの「ちょうどいい一着」の寸法をメモしておく

サイズの失敗を防ぐには、家にある「いちばん着心地のいい服」の肩幅・身幅・着丈・袖丈を測って、スマートフォンにメモしておくのがおすすめです。お店ではタグの表記ではなく、その数字と見比べます。試着できるお店なら、もちろん試着がいちばん確かです。

  • 所要時間:家で10分ほど
  • 費用感:メジャーがあればかからない
  • 向いている人:サイズ選びに自信がない人、オンラインで古着を見ることがある人

3-4. 家に迎えたら「おかえりの手入れ」をする

買ってきた服は、まず洗濯表示を確認します。家で洗えるものは一度洗い、洗えない素材のものは風通しのよい場所で陰干ししたり、ブラッシングをしたりしてから、クローゼットに迎えます。自分で扱うのが不安な素材は、クリーニングに出すのもひとつの方法です。この手入れをひと手間かけるだけで、「誰かの服」が「私の服」になる区切りができて、気持ちがすっと切り替わりました。

  • 所要時間:洗濯や陰干しのついでに
  • 費用感:ふだんの洗濯と同じくらい。クリーニングに出す場合はその分
  • 向いている人:清潔さやにおいが気になる人、気持ちの区切りがほしい人

古着を「買う」ことに慣れてくると、「手放す」側にも目が向きます。着なくなった服を次の人に渡す方法は、服をリサイクルショップに手放すときのコラムでまとめています。受け取る側と渡す側、両方を経験すると、循環の輪がぐっと身近になりますよ。

4. 続けるコツと、気負わない古着との付き合い方

4-1. 続けるコツは「見るだけの日」をつくること

古着は一点ものなので、行くたびに出会える服が違います。買わなくても「今日は見るだけ」と決めて、散歩のついでにのぞくくらいがちょうどいいでしょう。「何か買わなきゃ」というプレッシャーがないほうが、本当に気に入る一着に出会えます。

4-2. 古着にこだわりすぎなくていい

  • 全部を古着にしなくていい。新品と古着、両方を組み合わせて大丈夫です。
  • 肌着やインナーまで古着にしなくていい。抵抗がある部分は、無理に乗り越えなくてかまいません。
  • 「掘り出し物」を探さなくていい。安さや珍しさより、自分の暮らしに合うかどうかで選べば十分です。
  • 抵抗感を恥ずかしく思わなくていい。気になるのは、服を大切に扱いたい気持ちの裏返しでもあります。

4-3. 古着が向いていないかもしれない人

肌がとても敏感で、素材や洗剤の残りに反応しやすい人は、無理をせず、自分で扱いを管理しやすい新品を選ぶほうが安心な場合もあります。また、手入れの時間をとる余裕がない時期や、どうしても気持ちが落ち着かない人にとっては、古着はストレスの元になってしまいます。サステナブルな服選びは古着だけではありません。持っている服を長く着ることも、立派な選択肢のひとつです。

古着への抵抗感は、分けてみると「清潔さ」「におい」「サイズ感」「前の持ち主の気配」のどれかであることがほとんどです。はじめの3つは、選び方と手入れの小さな工夫でかなりほどけます。最後のひとつは、無理に消さなくても、いつか「物語」として感じられる日が来るかもしれません。

この衣替えの季節、まずは肌から遠いアウターを一着、明るい場所でじっくり眺めるところから始めてみませんか。誰かが大切にしてきた服をあなたが受け取ったら、次はどんな物語を重ねていきたいですか?

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Life Hugger 編集部

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