パナソニックも再生家電の事業を本格スタート!各業界に広がる“リファービッシュ”とは

使わなくなったものや壊れたものを回収して新たな形で再生させる動きは、あらゆる分野でスタンダードになりつつあります。特に多いのが衣料品ですが、家電にも同じような取り組みを行う企業が増えてきています。日本の最大手家電メーカーであるパナソニックもそのひとつ。今回はパナソニックも取り組みを始めた“リファービッシュ”について詳しく掘り下げます。

ナイキやエプソンなど世界で広がるリファービッシュ

“リファービッシュ”とは、英語で「refurbish=改修する、修理調整する」といった意味を持つ言葉。初期不良などで製造会社に返品された商品をメーカーなどが修理・点検して再出荷した整備済み中古品のことを指します。

近年では、2021年にナイキが返品や店頭展示などにより、新品として販売できなくなった商品を手作業で修繕し、ナイキストアで再び販売する循環型プログラム「Nike Refurbished(ナイキ リファービッシュド)」をスタートしました。

また、エプソングループでも「PCのリファービッシュ品」の販売をオンラインでスタート。初期不良品やエプソンダイレクトの無料貸し出しプログラムで貸し出された製品などを自社工場でクリーニングや検査・修理をし、通常品の約29~22%OFFの価格で販売しています。

このように。リファービッシュの取り組みでは、中古品ではありながらもしっかりと検品や修繕・修理を行うことで、品質が保証された状態の製品が販売されます。製品を廃棄せずに生まれ変わらせるため、製品の売り上げにつながるメーカーにとっても、安く製品を買いたい生活者にとって、そしてもちろん地球環境にとっても理にかなった取り組みです。

パナソニックの厳格な基準を満たした中古品を低価格で再販

リファービッシュ品展示

パナソニックからは、2024年4月に検査済再生品「Panasonic Factory Refresh」として、ドラム式洗濯乾燥機と4K有機ELテレビが販売されています。中古品でも安心して使える1年間の保証を適用したリファービッシュ品として手に入れることができます。

今回は商品カテゴリーが、ドライヤー、食器洗い乾燥機、冷蔵庫、レコーダー、ポータブルテレビ、デジタルカメラ、電子レンジ、炊飯器の10商品まで拡大しました。商品ラインナップは今後も拡大していく予定だそうです。

冷蔵庫

リファービッシュ品には、初期不良や展示品の戻り品月額利用で家電を使えるサブスクリプション型サービスの契約終了後に戻ってくる製品などを再活用。自社グループ監修の下、検品から再生まで厳格な出荷基準を満たした高品質な製品が中古品として再販されます。

また、パナソニックのリファービッシュ品は、中古品でありながら1年間の保証を適用していることも特徴。購入して終わりではなく、購入後もアフターサービスを受けられるので安心です。

リファービッシュ事業は利益重視ではない

「Panasonic Factory Refresh」の製品は中古品のため、通常の販売価格よりも低価格で購入できます。明確な割引率があるわけではなく、発売時期や商品の使用期間、外観の傷などによって変動します。一例で言えば、冷蔵庫と洗濯機は通常販売価格から約2割値引きされます。決して安くない家電を、新品で買うよりもお値打ちな価格で買えるのは、生活者にとっては大変うれしいことですよね。

パナソニックの執行役員でコンシューマーマーケティングジャパン本部長の宮地晋治氏は「技術者の技術を結集して作った前年の製品が翌年には価格が下がり、マイナーチェンジして出した製品がお客様に感動を与え続けられているかにも疑問を持っています。『この機能は気に入ってるけど、まだ新製品には手は出せない。でも中古品なら』というパナソニックのファンを増やす活動にできたら、持続可能な社会への貢献につながっていくと思っています」と、「Panasonic Factory Refresh」の背景や狙いを語っていました。

修繕コストについては、現状では洗濯機は全国から宇都宮の工場に集めて修繕を行っていますが、物流費やそれに伴うCO2排出など、さまざまな負担が大きくなってしまっています。そのため、今後は地域の販売店や工場などとも連携していく方向で、スキーム構築を検討していく予定だそう。

「まずはお客様の購買体験や使用体験価値をいかに上げて、満足度を上げていくか。そして、最終的にはパナソニックを価値のあるブランドとして認知して、支持されるメーカーになっていきたい。そうやって支持された結果がこの事業の成功につながると思っています」と、宮地氏は締めくくっていました。

あらゆる企業においてリファービッシュ事業は大きな儲けや利益を優先したサービスではないのでしょう。パナソニックでは「Panasonic Factory Refresh」に明確な売り上げ目標を設けているわけではなく、国の指針や地域販売店などと共同しながら一緒に循環型社会の構築を作っていくことが大きな狙いだと言います。

また、地球の未来のために「リファービッシュ製品を使う」という新たな体験価値を提供することで、生活者も応援したくなり、信頼してその企業の製品やサービスを使い続けることができるのではないでしょうか。だからこそ、ナイキやエプソン、パナソニックなど、各業界のトップランナー企業が先進的にリファービッシュ事業に取り組み始めているのだと改めて感じました。

【参照サイト】Panasonic Factory Refresh
【関連ページ】新品と見分けがつかない!整備済みスマホ(リファービッシュ品)の購入ガイド

The following two tabs change content below.

Life Hugger 編集部

Life Hugger(ライフハガー)は暮らしを楽しむヒントを紹介するウェブマガジンです。消費や暮らしをサステナブルな方向へと変えていきたいと考えている人に向け、サステナブルなライフスタイル、丁寧な暮らし、子育て、農と緑、健康、家事、レジャーなどに関する情報を紹介しています。
InstagramTwitter