「もっと気軽に」と想いを込めたエシカルフラワーカフェ「lauren」が蔵前にオープン

おしゃれな雑貨やカフェが立ち並ぶ東京の蔵前エリア。そこにエシカルフラワーショップが併設されたカフェ「lauren(ローレン)」がオープンしました。廃棄される花の削減を目的に、エシカルフラワーの製造・販売を行う株式会社ethicaが運営するこちらのお店。取材をして、詳しくお話を伺いました。

廃棄される花を独自技術で蘇らせる“エシカルフラワー”

株式会社ethicaによると、エシカルフラワーとは”ひとりでも多くの人に見てもらえるように持続可能な形に変化させた花”のこと。同社は以下の3つをエシカルフラワーの定義としています。

・原材料はロス対象フラワーを100%使用していること
・一般的なドライフラワーと異なる製造過程であること
・独特の発色・艶感・形状であること

同社の代表である藪中桂佑さんは銀行に入社し、幅広い業務に携わっていくなかで、企業が取り組むSDGsの目標が消費者には非常にわかりにくくなっているという課題に直面したそうです。そこで誰もが理解しやすく、環境に優しいビジネスを展開しようと、コロナ禍で廃棄された花の問題に着目して株式会社ethicaを立ち上げました。

吊るすエシカルフラワー

同社が製造するエシカルフラワーには廃棄される花を使い、同社独自の技術で乾燥して完成させます。吊るして乾かす一般的なドライフラワーとは製造工程が異なるだけではなく、鮮やかな発色やツヤ感、そして美しい形状に特徴があります。風通しの良い部屋に飾っておけば、半年から1年ほど持つのだそう。

外観

会社設立以来、受注生産とオンライン販売を展開してきたエシカルフラワーですが、実際に目で見て選んでもらいたいという思いから、2022年10月22日には蔵前に「ethica lab(エシカ ラボ)」をオープンしました。そこではエシカルフラワーだけでなく、スワッグやドライフラワー、アクセサリーやフラワーボトルなども取り扱い、蔵前を訪れる感度の高い女性や若者を中心に人気を得てきました。

より敷居が低い状態で花との接点を持ってほしかった

2024年1月16日、ethica labに併設するかたちでカフェ「lauren」がオープンしました。オープンの経緯について、ethica取締役COOであり、エシカルフラワー事業部長の琴畑未来さんは「より敷居が低い状態で、花との接点を持ってほしかった」と話します。

内観

「花は見た目のかわいらしさやサイズを見て購入するものですよね。まだまだ”エシカルである“という部分は、購入意欲には結びつきにくいものです。そのため、より気軽にお店に入ってもらってエシカルフラワーを見てもらいたかったのです。エシカルを押しつけるのではなく、コーヒーを飲みに来たついでに花も買って行こうという流れになったらうれしいです」(琴畑さん)

コーヒー

ethica labができる前、この場所には蔵前でも有名なカフェがあったため、カフェとして気軽に入れる空気感がすでに醸成されています。

食べられるエディブルフラワーを使って「花」を無理やり押し出したり、流行や写真映えを狙ったりはせず、ケーキやプリンといったシンプルで馴染みのあるメニューがメイン。フリーランスやクリエイターが居心地よく滞在できるように、広々としたソファ席や電源のある席があり、あくまで誰でも来やすいカフェとしての営業を心がけているそうです。

フラワーロス問題に本気で取り組むからこそ抱く、花を巡る現状への危機感

フラワーロスは注目度が増しているものの、問題が解決されているとは言えない状態です。現在、作られている花の3~4割は廃棄されていて、年間で1,500億円もの経済損失が発生しています。

エシカルフラワー

花は季節やイベントなどに応じて流通するため、値崩れが起きやすいもの。景気や時世に影響されやすい嗜好品であり、売れ行きが常に不安定な側面もあります。さらに、生産時に規格外となった花や販売までに傷みが発生した花、役目を終えた花のほとんどは廃棄されていて、フラワーロス問題が起きているのが現状です。

同社は農家から直接仕入れて自社でエシカルフラワーを製造したり、作品として売ったり、リメイクしたりして、このフラワーロス問題と向き合っています。法人の空間装飾やノベルティ制作などを手掛けることもあります。

「個人向けではリメイクフラワーに力を入れていきたいものの、生花の取り扱いが難しく、ハードルが上がってしまうという課題があります。またウェディング会場でもかなりたくさんの花が廃棄されますが、これらは新郎新婦のものであり、会場は花の扱いを判断できないのです。『新郎新婦が会場に飾り付けられた花を梱包してくれたら業者に受け渡せるのですが……』と言われることもあります。農家に関しても、流通できない規格外の花をわざわざ選別するために、人件費や手間暇が生じています。廃棄される花を再活用しようと思っても、多くの場所でいつもとは違うオペレーションをしなければならない問題はどうしてもつきものです」(琴畑)

気軽なコーヒーブレイクがフラワーロスを知るきっかけに

こうしたロスフラワーを取り巻くさまざまな問題を解決する一助として、エシカルフラワーを製造して花としての価値を蘇らせ、廃棄花の削減や過剰生産の抑制に貢献している同社。さらにこのフラワーショップやカフェは、消費者がこの問題を知るきっかけになるのではないでしょうか。

入口

実際に店舗を訪れたお客さんは、帰り際にエシカルフラワーを手に取ったり、店員さんとコミュニケーションを取ったりして、新たな発見や気付きを得ているのだそう。

コーヒーとプリン2

今後はカフェ同士のつながりを大切に地域で愛されるお店づくりを目指し、週末にはエシカルフラワーやコーヒーのワークショップといった学びの機会を作っていく予定とのこと。蔵前エリアに行った際にはethica lab、そしてlaurenでコーヒーを楽しみつつ、エシカルフラワーに触れてみてはいかがでしょうか。

【関連ページ】フラワーロス削減を行うethicaが、生花をドライフラワーにして届けるサービスを開始
【関連ページ】母の日にロスフラワーという選択肢を。花の廃棄問題に取り組むエシカルなお店・サービスを紹介
【参照サイト】株式会社ethica
【参照サイト】lauren

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Life Hugger 編集部

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