ニットの毛玉の取り方と予防、ハサミ・ブラシ・毛玉取り器の使い分け

白い背景に置かれたピンクのニットセーターの襟元

「お気に入りのセーターの脇や袖に、気づいたら毛玉がびっしり……」「毛玉取り器を使ったら、生地が薄くなった気がする」「そもそも、どうすれば毛玉ができにくくなるの?」。ニットを着はじめる季節になると、こんな悩みが出てきますよね。

毛玉が数個なら小さなハサミで根元から切る、広い範囲なら電動毛玉取り器を軽く当てる、ふだんは洋服ブラシで繊維を整える。この3つを使い分ければ、生地を傷めずにすっきり整えられます。この記事では、それぞれの道具の使い方と素材ごとの向き不向き、そして毛玉をこれ以上増やさないための洗い方・干し方・しまい方をまとめました。

1. ニットの毛玉は「手入れのタイミング」のサイン

たたんで重ねたニットのセーターに手を添える様子

毛玉は、着ているあいだの摩擦で生地の表面の繊維がけば立ち、そのけばどうしが絡まって小さく丸まったものです。脇の下や袖の内側、バッグのショルダーが当たる肩やお腹まわりなど、こすれやすい場所にできやすいのはこのためです。

毛玉ができたからといって、そのニットが寿命を迎えたわけではありません。むしろ「よく着て、よく働いてくれた」証拠です。毛玉を見つけたら、手放すかどうかを考える前に、ひと手間かけて整えてあげる。そんなふうに受け止めると、冬の衣類との付き合い方が少し変わってくるのではないでしょうか。

大切なのは、毛玉を「むしり取る」のではなく「繊維を傷めずに切り離す」ことです。ここからは、道具ごとの取り方を紹介します。

2. 毛玉の取り方は3つ。量と素材で使い分ける

どの方法でも、作業前の準備は共通です。テーブルやアイロン台など平らな場所にニットを広げ、明るい場所で毛玉の位置を確認しましょう。生地がたるんでいると刃やブラシが引っかかりやすいので、片手で生地を軽く押さえ、ぴんと張った状態で作業するのがコツです。

2-1. ハサミで1つずつ切る(毛玉が少ないとき・デリケートな素材に)

いちばん生地にやさしいのが、ハサミで毛玉を1つずつ切り取る方法です。カシミヤのような繊細な素材や、目立つ場所に数個だけできた毛玉に向いています。

  • 必要な道具: 眉用ハサミや糸切りバサミなど、先の細い小さなハサミ
  • 所要時間の目安: 数か所なら、お茶を淹れるあいだくらい。全体にできている場合は時間がかかるので、ほかの方法と組み合わせます
  • やり方: 毛玉を指先で軽くつまみ、生地から少しだけ浮かせます。ハサミの刃を生地と平行に寝かせ、毛玉の根元を切ります
  • 注意点: 毛玉を強く引っ張ると、生地の繊維まで一緒に引き出されてしまいます。つまむのは「浮かせる程度」にとどめ、刃先を生地に向けないようにしましょう

時間はかかりますが、そのぶん生地を削る量が少なく、仕上がりもきれいです。ラジオや音楽を流しながら、ゆっくり向き合う手しごとの時間にしてみてください。

2-2. ブラシで繊維を整える(ウール素材・ふだんの手入れに)

洋服ブラシや毛玉取り用のブラシは、できかけの小さな毛玉や、けば立った繊維を整えるのに向いています。ウールのニットとの相性がよく、取るだけでなく予防にもなる道具です。

  • 必要な道具: 天然毛の洋服ブラシ、または毛玉取り用のブラシ
  • 所要時間の目安: 一着につき、ほんの数分
  • やり方: 生地を平らに置き、編み目の流れに沿って上から下へ、一方向に軽くブラシを動かします。毛玉が引っかかってきたら、ブラシに絡んだ繊維をこまめに取り除きます
  • 注意点: 往復させてゴシゴシこするのは避けましょう。摩擦が増えて、かえって毛玉の原因になります

大きく育った毛玉はブラシだけでは取りきれないことが多いので、その場合はハサミや毛玉取り器と組み合わせます。

2-3. 電動毛玉取り器で広い範囲を整える(化学繊維の混ざったニットに)

毛玉が全体に広がっているときは、電動毛玉取り器が便利です。回転する刃で表面の毛玉を刈り取るしくみなので、短い時間で広い範囲を整えられます。アクリルやポリエステルが混ざった、毛玉が落ちにくいニットで特に活躍します。

  • 必要な道具: 電動毛玉取り器、粘着式のクリーナー(仕上げ用)
  • 所要時間の目安: 前身ごろ・後ろ身ごろ・袖と分けて進めれば、一着でもそれほど長くはかかりません
  • やり方: 生地を平らに張り、本体を押しつけずに表面へ軽く当てて、円を描くようにゆっくり動かします。高さ調整のガードが付いている機種なら、まずは高め(刃が生地から遠い設定)から試します
  • 注意点: 力を入れると、毛玉だけでなく生地の表面まで削り、薄くなったり穴があいたりする原因になります。はじめて使うニットは、裾の裏など目立たない場所で試してからにしましょう

ざっくりとした粗い編み目のニットや、モヘヤ・アンゴラのように毛足の長い素材は、刃に糸が巻き込まれやすいため、電動毛玉取り器は避けてハサミで取るほうが安心です。

3. 素材別に見る、向いている取り方

同じニットでも、素材によって毛玉のでき方や、向いている取り方は変わります。お手持ちのニットの品質表示(素材の表示)を見ながら参考にしてください。

素材 毛玉の特徴 向いている取り方 気をつけたいこと
ウール こすれる場所に毛玉ができやすい ふだんはブラシ、育った毛玉はハサミ 強くこすると表面が毛羽立ち、新しい毛玉のもとに
カシミヤ 繊維が細くやわらかいため、毛玉ができやすい ハサミで1つずつ、ブラシはやさしく 電動毛玉取り器は生地を傷めやすいので慎重に
アクリル・ポリエステルなどの混紡 繊維が丈夫なため、毛玉が落ちにくく残りやすい 電動毛玉取り器、ハサミ 押しつけず、軽く当てる
モヘヤ・アンゴラなど毛足の長い素材 長い毛が絡まって毛玉になりやすい ハサミ 電動毛玉取り器やブラシの強いかけ方は、毛足を傷める
コットン 脇や袖口など、こすれる場所に小さな毛玉ができる ハサミ、電動毛玉取り器 薄手の編み地は削りすぎに注意

一般的な傾向をまとめたものです。詳細は各衣類の洗濯表示や、各ブランドのお手入れの案内でご確認ください。

4. 毛玉を取ったあとの仕上げ

毛玉を取り終えたら、生地の表面に残った細かな繊維くずを、粘着式のクリーナーや洋服ブラシでやさしく取り除きます。粘着式のクリーナーは強く押し当てると生地の繊維まで引き出してしまうので、転がすように軽く当てるのがポイントです。

洗濯表示でアイロンが使えるニットなら、スチームアイロンを生地から少し浮かせて蒸気を当てると、つぶれた編み目がふんわりと立ち上がります。アイロンを直接押し当てると風合いが損なわれるので、あくまで「蒸気を含ませる」イメージで行いましょう。

5. 大切なニットを傷めやすい5つの取り方

早く取りたいときほど、つい手が出てしまう方法があります。次のような取り方は、毛玉は取れても生地そのものを傷めてしまうことがあるので気をつけましょう。

  1. 指で毛玉をむしり取る: 毛玉とつながった繊維ごと引き抜くため、生地が薄くなり、まわりにまた新しい毛玉ができやすくなります
  2. カミソリで表面をそる: 刃が生地に直接当たりやすく、編み糸を切ってしまうおそれがあります
  3. 食器用スポンジの硬い面でこする: 表面の繊維を削り取るうえ、摩擦で新たなけば立ちを生みやすい方法です
  4. 電動毛玉取り器を強く押しつける・同じ場所に当て続ける: 生地が薄くなったり、穴があいたりする原因になります
  5. 生地がたるんだまま作業する: 刃やハサミに生地の山が引っかかり、思わぬところを切ってしまうことがあります

迷ったときは「少しずつ、軽く、平らに」。手間がかかるようでも、結果的にニットを長く着られる近道です。

6. 毛玉をつくりにくい洗い方・干し方

毛玉は摩擦から生まれるので、洗濯での「こすれ」を減らすことがいちばんの予防になります。洗う前に、まず洗濯表示で家庭で洗えるかどうか、手洗いか洗濯機かを確認しましょう。

6-1. 洗い方のポイント

  • 裏返して、ネットに一枚ずつ入れる: 表面どうしがこすれるのを防ぎます。ネットはニットのサイズに合ったものを選び、たたんで入れると中で動きにくくなります
  • おしゃれ着用の中性洗剤を使う: ウールなどの動物性の繊維にやさしく、風合いを保ちやすくなります
  • 手洗いコースやドライコースなど、弱い水流で洗う: 手洗いの場合は、もみ洗いせず、ぬるま湯か水の中でやさしく押し洗いします
  • タオルやデニムなど、硬い衣類・毛羽の出やすい衣類と一緒に洗わない: 摩擦が増えるうえ、ほかの衣類の繊維くずも付きやすくなります
  • 脱水は短めに: 長時間の脱水は生地どうしの摩擦や型崩れにつながります

6-2. 干し方のポイント

  • 形を整えて平干しする: ハンガーに吊るすと、水の重みで伸びたり肩に跡がついたりします。平干し用のネットや、ピンチハンガーの上に広げて干しましょう
  • 直射日光を避け、風通しのよい日陰で: 色あせや風合いの変化を防ぎます
  • 乾燥機は避ける: 熱と回転による摩擦で、毛玉や縮みの原因になります

毎回洗う必要はありません。汗をかきにくい季節のニットは、着たあとにブラシをかけて風を通すだけでも、きれいな状態を保ちやすくなります。洗う回数を減らすことは、ニットにも水やエネルギーの使い方にもやさしい選択です。

7. 着るとき・しまうときの小さな習慣

7-1. 着るとき

  • 同じニットを続けて着ない: 一日着たら休ませることで、繊維の弾力が戻り、毛羽立ちにくくなります
  • 脱いだらブラシをひとなで: けば立った繊維が絡まる前に整えておくと、毛玉に育ちにくくなります
  • こすれやすい組み合わせを意識する: ショルダーバッグやリュックの肩ひも、表面のざらついたアウターはニットとこすれやすいので、大切な一着を着る日は持ち方や重ね方を少し工夫してみましょう

7-2. しまうとき

  • 汚れを落としてからしまう: 皮脂や食べこぼしが残っていると、虫食いや黄ばみの原因になります。シーズンの終わりには、洗うかクリーニングに出してから片づけましょう
  • ハンガーに掛けず、たたんで収納する: 重みで伸びたり、肩に跡がついたりするのを防ぎます
  • ぎゅうぎゅうに詰め込まない: 押しつぶされた状態が続くと、ふくらみが失われ、取り出すときの摩擦も増えます。引き出しや収納ケースには、少しゆとりを残しておきます
  • 防虫剤を添える: ウールやカシミヤなどの動物性の繊維は虫に好まれやすいので、防虫剤を一緒に入れておくと安心です

脱いだらブラシ、しまう前にひと手入れ。こうした小さな習慣は、毎日の暮らしの中に「丁寧さ」を取り戻す、ささやかな時間にもなってくれます。

8. 手が回らない季節は、プロや「循環」の手を借りるのも選択肢

とはいえ、仕事や子育てで忙しい時期に、セーターを一枚ずつ手洗いして平干しするのは、なかなか大変ですよね。そんなときは、すべてを自分で抱え込まなくても大丈夫です。

洗濯表示で家庭洗いができないニットや、カシミヤなど特に大切にしたい一着は、クリーニング店に預けるのもひとつの方法です。毛玉や毛羽立ちが気になる場合は、受付で相談してみると、素材に合った扱い方を提案してもらえることがあります。プロに任せる部分をつくることで、自分は「着て楽しむ」ことに時間を使えるようになります。

また、手入れをしてみて「もう自分のライフスタイルには合わないな」と感じたニットは、捨てるのではなく、買取サービスやフリマアプリ、知人への譲渡などで次の着る人へつなぐ道もあります。毛玉を取ってきれいに整えておけば、次の持ち主にも気持ちよく受け取ってもらえます。手放すことも、服を循環させるための前向きな選択です。

エコな暮らしを無理なく続けるために(次のステップ)

ニットの毛玉取りは、一着の服と長く付き合うための入り口です。服との付き合い方や、ごみを減らす暮らしについてもっと知りたい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

ニットの毛玉は、数個ならハサミ、広い範囲なら電動毛玉取り器、ふだんの手入れにはブラシ。素材に合わせて道具を選び、「少しずつ、軽く、平らに」を心がければ、お気に入りの一着をきれいな状態に戻せます。そして、裏返してネットに入れて洗う、平干しする、脱いだらブラシをかける、ゆとりを持ってたたんでしまう。そんな小さな習慣が、毛玉をつくりにくくしてくれます。

まずは今夜、いちばん気になっている一着を平らに広げて、毛玉をひとつ取ってみてください。手をかけたぶんだけ愛着が増したニットは、この冬もきっと、あなたをあたたかくHugしてくれるはずです。

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Life Hugger 編集部

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