防災グッズはしまわない。日常使いできる「フェーズフリー」とは

充電式LEDランタンを普段使いしている室内の様子

「防災用品をそろえなければ」と思いながら、何から始めればよいか分からず、そのままになっていませんか。

災害への備えというと、非常食や防災バッグを特別に用意するイメージがあります。もちろん大切なことですが、普段使っているものを、もしものときに役立てる方法もあります。

そんな考え方のひとつが、「フェーズフリー」です。まだ聞き慣れない言葉かもしれませんが、日常と非常時を切り分けず、毎日の暮らしの中で無理なく備える方法として、少しずつ広がっています。

フェーズフリーとは?

フェーズフリーとは、「日常」と「非常時」を分けて考えるのではなく、普段使っている商品やサービスを災害時にも役立てようという考え方です。

災害はいつ起こるか分かりません。非常時だけのために備えたものは、収納したまま使い方を忘れてしまったり、賞味期限や電池切れに気付かなかったりすることがあります。

一方で、日頃から使い慣れているものなら、いざというときも落ち着いて使いやすく、日常の中で自然に管理しやすいというメリットがあります。

なぜ「フェーズフリー」が広がっているの?

近年は、地震や豪雨などの自然災害が各地で発生し、「特別な備え」だけではなく、日頃から無理なく続けられる防災への関心が高まっています。

フェーズフリーは、「使わない防災用品」を増やすのではなく、「普段使っているからこそ非常時にも役立つ」という発想です。

日常生活の延長として取り入れられるため、使い方を自然と覚えられ、買い替えやメンテナンスもしやすいことから、家庭でも続けやすい備え方として広がっています。

「フェーズフリー認証」という仕組みも

フェーズフリーの考え方は、一般社団法人フェーズフリー協会が提唱・推進しています。同協会は、商品やサービスが日常時・非常時の両方で価値を持つことを審査する「フェーズフリー認証」という制度を2019年から運営しています。

認証を受けた商品には認証マークが表示され、普段の使いやすさと、災害時の使いやすさの両方を考えて設計されていることが分かります。

商品を選ぶときは、こうした認証を目印にしたり、「日常でも使いやすいか」「もしものときにも役立つか」という視点を持ったりすることで、無理なくフェーズフリーを暮らしに取り入れやすくなります。

暮らしの中で取り入れられるフェーズフリー

フェーズフリーは、特別な防災用品を買いそろえることだけが目的ではありません。普段使っているものを少し意識するだけでも、日常と災害時の両方で役立つ備えになります。

身近なアイテムを見直してみると、すでにフェーズフリーにつながるものが意外と多くあります。

普段の使い方 災害時の活用例
モバイルバッテリー 停電時のスマートフォン充電
LEDランタン 停電時の照明
水筒・マイボトル 給水所で受け取った水の持ち運び
カセットコンロ 停電時の調理・湯沸かし
レインウェア 避難時の防寒・雨対策
保冷バッグ 食料や生活用品の持ち運び
アウトドアチェア 避難生活での休憩
レトルト食品・缶詰 ローリングストックとして備蓄

ここでは、暮らしの中で取り入れやすいものをいくつか紹介します。

モバイルバッテリー

外出先でスマートフォンを充電するためのモバイルバッテリーは、停電時にも活躍します。普段から使っていれば充電状態も確認しやすく、いざというときにも安心です。

LEDランタン

寝室やリビングで間接照明として使えるLEDランタンは、停電時にもそのまま照明として利用できます。普段から使い慣れておくことで、暗い場所でも落ち着いて使いやすくなります。

カセットコンロ

鍋料理や卓上調理で使うカセットコンロは、停電時の調理や湯沸かしにも役立ちます。日常的に使う機会があるため、使い方を忘れにくく、カセットボンベの残量も確認しやすくなります。

普段の調理にも災害時にも役立つカセットコンロ

レトルト食品・缶詰

レトルト食品や缶詰は、忙しい日の食事にも便利なうえ、災害時の備えとしても役立ちます。普段から食べて、使った分だけ買い足す「ローリングストック」を取り入れることで、賞味期限切れを防ぎやすく、食品ロスの削減にもつながります。

ローリングストックの始め方や、備えておきたい食品については、防災の日に見直したい。食品ローリングストックの始め方で詳しく紹介しています。

新しく買う前に、今あるものを見直してみる

フェーズフリーでは、新しい防災用品を増やす前に、今あるものが災害時にも使えないかを考えます。

例えば、アウトドア用品やモバイルバッテリー、水筒、レインウェアなどは、普段の暮らしでも使う機会が多く、もしものときにも役立ちます。

「これは災害時にも使えるだろうか」という視点で家の中を見渡してみると、新しく買い足さなくても備えにつながるものが見つかるかもしれません。

フェーズフリーが続けやすい理由

防災用品は、「非常時のためだけに用意するもの」と考えると、準備や管理が負担になりがちです。

フェーズフリーは、普段から使うことを前提としているため、自然と使い方を覚えられます。充電や買い替え、賞味期限の確認も日常生活の中で行えるため、無理なく備えを続けやすいことが特徴です。

また、普段から使い慣れていることで、「いざというときに使い方が分からない」「久しぶりに取り出したら電池が切れていた」といった状況も防ぎやすくなります。

フェーズフリーだけで十分ではない

フェーズフリーは、毎日の暮らしの中で備えを続けやすくする考え方です。一方で、すべての防災対策を置き換えられるわけではありません。

災害時に備えて用意しておきたい非常用持ち出し袋と防災用品

飲料水や非常食、携帯トイレ、救急用品などは、災害時に備えて専用に準備しておきたいものです。とくに飲料水や携帯トイレは、日常使いのアイテムだけではまかないきれないため、必要な量を別途備えておく必要があります。

農林水産省の「家庭備蓄ポータル」では、飲料水は1人1日3リットルを最低3日分、できれば7日分、食料も最低3日分、できれば1週間分の備蓄が目安とされています。

フェーズフリーは、こうした備蓄の代わりになるものではなく、日頃から防災を身近にするための考え方です。専用の備えと組み合わせることで、より安心につながります。

まずは普段使っているものを見直し、必要な備蓄と組み合わせながら、それぞれの暮らしに合った備えを考えてみましょう。

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Life Hugger 編集部

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