10月4日は「世界動物の日」。2022年のこの日、アメリカ·ネバダ州を拠点に活動するアーティストChilipepper’s PaintingことYasuyo Corbett氏(以下、Yasuyo氏)と、一般社団法人manani(以下、マナーニ)が、アートの力で保護犬をサポートするクラウドファンディングプロジェクト「Dialogue(ダイアログ)」の発足を発表した。
同プロジェクトでは写真にうつる保護犬が新しい家族に迎え入れられる瞬間を、Yasuyo氏が思い描き、作品をとおして人びとと保護犬の対話「ダイアログ」を生みだす。支援金に応じたリターンとして、描き下ろしの原画や、Tシャツ、トートバッグ、コースター等のグッズを用意している。
Yasuyo氏は、アーティストとして独立後、アメリカ西部をおそう異常気象や山火事などを目の当たりにするとともに、豊かな自然と動物と触れ合う日常のできごとからインスピレーションを得、「自然との距離感」や「動物たちとの共生」をモチーフに作品を多数手がけてきた。
一方、プロジェクトを牽引するマナーニは、全国の小学校の生活科や道徳科で、犬とのふれあいから、動物と人、人と人とのコミュニケーションを学ぶ「命に興味を持ち、感じ、考える」授業を、文科省、環境省認可のもと実施している。プロジェクトで募った支援金は、マナーニの動物介在教材の開発支援に2023年より活用される。
記者発表の会場には、保護犬の写真とポップな犬の絵が並べて飾られていた。マナーニの代表をつとめる須崎大氏はまず、写真を指し「保護犬と聞いて、かわいそう、さびしそうというイメージをもつ方が多いでしょう」と伝えたうえで、次に絵の方向を差し「今度は同じ犬たちをYasuyo Corbettが絵にしてみました。ふとあたたかい気持ちになり、私は彼女の絵に一歩近づいてみたくなりました」と語った。
そして、自身が2年前に亡くした愛犬をYasuyo氏が絵にしたときのことをふりかえり、「写真を見たときより、絵を観たときの方が抱きつきたい気持ちが沸いてきました。同じ対象でも、絵から生まれる時間の深さ、広さの変化に、より可能性を感じました。Yasuyo Corbettの絵を観て、私と犬との『対話』が生まれたのです」と伝えた。
また、Yasuyo氏は、2年前に自身が病で療養していたときに体験した、保護犬とのエピソードについて語った。
「手術後は1日で退院しなくてはならず、とにかく毎日歩きなさいと医師から言われ、毎日ひとりでおなかを押さえて歩いていました。すると、向かいに住んでいた保護犬が毎日一緒に歩いてくれて。私の先をどんどん歩いて、私が彼に追いつくと、また先を歩いて。毎日くり返して、気がつくと長い距離を歩けるようになりました」
同氏は、保護犬を描くときの心情について、「もし私がこの犬と生活していたら、といつも考えて描いています。たとえば、ボクのおやつは?と聞いてくれたり、私が住む場所にレイクタホという透明度の高い湖があるのですが、そこで一緒に水遊びをしたり、飛び込んだり、風に吹かれたり…そんな想像をしています」と説明した。
さらに会場には、犬や猫を保護し管理、譲渡する活動をサポートするDO ONE GOODの高橋氏、ボランティアとして里親が見つかるまで自宅で保護する「ホスター」が所属する団体の理事ら2名が、それぞれ暮らす保護犬とともに登壇した。
犬をはじめ動物には、同様に命があり、心臓は動いていて、体はあたたかい。ともに生活するためには手間やお金がかかり「かわいい」「かわいそう」だけではなく、10年、20年と一緒に生活できることを考え、迎え入れることを、保護犬をサポートする人びとは願っている。飼うことだけが正解ではなく、より多くの人に「知ってもらう」ことが重要となる。
クラウドファンディング「Dialogue」が開始されるのは、ワンワンの日である11月1日。ポップで愛らしい犬たちが描かれたグッズやアート作品を日常に取り入れることが、犬が新しい家族と出会うための一助となる。これまでのさびしいイメージを払拭する、アートの力で保護犬を支援するプロジェクトにぜひ参加してみてはいかがだろうか。
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発表が行われたコーヒーショップ「BIKAS COFFEE 江戸川橋店」では、アグロフォレストリー(森林農業)で栽培したネパールのコーヒー豆を使ったこだわりの1杯を提供している。10月10日で1周年を迎える同店は、33枚集まると産地のハルパン村にコーヒーの樹1本が植樹されるドリンクチケット「ビカスグリーン」をオンラインにて販売中だ。
【参照ページ】クラウドファンディングページ(CAMPFIRE内)(11月1日公開予定)
【参照ページ】一般社団法人マナー二 【manani】
【関連ページ】森との共生で生まれたコーヒーがめざす未来とは?ネパールから世界へ「BIKAS COFFEE」
秋山 綾
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