小型紙容器ミネラルウォーターの発売から1年、テトラパック社が日本に与えた影響とは?

ミネラルウォーターと言えば、長らくペットボトルに入っているイメージが強かった。しかし、ここ最近になって変化が訪れてきている。ヒルトンやマリオットといった外資系ホテルやおしゃれなカフェで、紙容器に入ったミネラルウォーターが導入されているのだ。事実、この1年の間で紙容器入りのミネラルウォーターはぐんと増えている。

紙容器の普及に一役も二役も買っているのが、日本テトラパック株式会社だ。スウェーデンで創業し、スイスのローザンヌに本社を構えるテトラパック社は、食品用紙容器の開発・製造を行う、世界的なリーディングカンパニー。日本はもちろん、世界各国に約25,000名の従業員を擁して、安全かつ環境に配慮した製品を提供している。

同社の製品のなかでもとりわけ特徴的なのが、紙容器を利用した紙容器ミネラルウォーターだ。FSC認証を受けた森林と、管理された供給源の木材を原料としている紙容器はリサイクル可能。300mlのペットボトルとテトラパックの紙容器330ml(TPA330)を比較すると、Global warming potential index(※)は40%も低減されることが判明している。
(※)ミネラルウォーターを両容器で1,000L分製造した際に排出されるガスをCO₂換算した数値の指数

また、同社の紙容器は約56%のプラスチック、ひいては温室効果ガスが削減できることもデンマークのライフサイクルアセスメント(環境影響評価)で証明されており、ペットボトルとの環境への影響度の差は歴然だ。近年、深刻化しているプラスチック製品の廃棄問題を少しでも解決すべく、日本テトラパック社は2020年に小型紙容器ミネラルウォーターの国内展開を本格的にスタートした。

テトラパック

環境に優しいとお墨付きの小型紙容器ミネラルウォーターが満を持して発売されはや1年。国内市場を見てみると、三井農林やハバリーズなどといった大手企業が続々とテトラパック社の紙容器ミネラルウォーターを取り扱い開始。アメニティの定番であるミネラルウォーターを、ペットボトルから紙製容器のものにかえるホテルも増えてきた。

企業や団体だけではない。2021年4月の参院環境委員会では、出席議員らにハバリーズ社の紙容器入りミネラルウォーターが提供されたことで大きな話題を呼んだ。

もはや紙容器ミネラルウォーターは、サステナブルへの取り組み姿勢を示すツールといって差し支えはないだろう。現に2021年1月~7月にかけての紙容器ミネラルウォーターの出荷量は前年比の約1.8倍にまで達し、着実に私たちの生活に浸透しはじめている。

2020年は、スターバックスコーヒーがアイスドリンクの容器をプラスチックから紙タイプへ変更すると発表し、注目された年でもある。同社は2021年2月より国内全店舗に紙容器を採用しているが、世界最大級のコーヒーチェーンが踏み切ったこの取り組みにより、紙容器の飲料はますます身近なものになるに違いない。

【参照サイト】日本テトラパック株式会社
【参照サイト】参院環境委、議員らに紙パック水
【参照サイト】スターバックス 紙容器に変更
【関連ページ】ローリングストックで無駄なく防災対策! 日本テトラパック株式会社

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河端 麻紀

愛知県で働く30代のフリーランスライターです。旅行関連の記事を得意としています。SDGsについては現在勉強中で、働きがいも経済成長も感じられる社会を目指しているところです。休日は映画鑑賞とジョギングを楽しんでいます。