さっと使って捨てられる、アルコールワイプやウェットティッシュは、家の中でも外出先でも気軽に汚れを拭き取れる便利なアイテムだ。特に、乳幼児の育児に欠かせない「おしりふき」は、育児経験者であれば、誰もが一度は手にしたことがあるのではないだろうか。一方で、こうしたウェットティッシュやおしりふきには、肌触りの良さや乾燥を防ぐために、不織布や梱包にプラスチックが使用されているものも少なくない。
そんななか、イギリスで小売販売業を展開する「テスコ(TESCO)」が、プラスチック使用しているベビーワイプ(赤ちゃん用のおしりふき)商品すべての取り扱いを禁止する。この決定を通して、同社は、プラスチック使用のベビーワイプを販売しない、イギリス最大手の小売業者になろうとしている。
テスコはすでに、2020年の時点で、自社ブランドのベビーワイプをプラスチック使用のものから、素速く分解される生分解性素材のビスコース使用のものに変更している。今回は、こうした自社ブランドのみならず、店舗で取り扱うすべてのブランドにおいて、プラスチック使用のベビーワイプの販売を止める。
今回の取り組みにより、1種類のアイテムを除き、テスコで販売されるすべてのウェットティッシュやクリーニングワイプがプラスチックフリーとなる。現在、唯一プラスチックが含まれる「ペット用ウェットティッシュ」1アイテムについても、本年中にプラスチックフリーに生まれ変わる予定だ。
テスコグループの品質管理部門のディレクター、サラ・ブラッドべリー氏は、「プラスチック使用のおしりふきは分解に時間がかかるのがわかるので、我々は同製品からプラスチックを取り除くために懸命に努力してきました。ウェットティッシュやベビーワイプにプラスチックを使用する必要はないので、これからは、プラスチック使用のウェットティッシュの在庫を持つことはありません。」とコメントしている。
同社のプラスチックフリーのおしりふき用ウェットティッシュは「(トイレなど)水に流しても良い」という認証ラベルを取得している。また、2019年8月から「4R(Reduce・Reuse・Reuse+Refuse)パッケージング戦略」を立て、15億個のプラスチック製商品と6000トンの包装を削減してきた。こうした企業の努力とストーリーが、個人の行動も変え持続可能な社会の実現に一歩近付く。テスコの今後の動向にも注目していきたい取り組みだ。
持続可能な社会の実現に向けて、世界各国では「脱プラスチック」や「脱炭素」、「ゼロウェイスト」といった活動が活発化している。
日本国内でも、花王やエステーといった大手企業が協働でプラ容器を自主回収したり、「脱プラスチック」プランを用意する宿泊施設などが登場したりと積極的だ。ローソンやファミリーマートといった身近な小売店でもサステナブルな取り組みを行っているので、利用する際はぜひ注意して見てみてほしい。
【参照ページ】Tesco becomes first major UK retailer to ban plastic wet-wipes
【関連ページ】【2021年】脱プラスチックの現状と課題とは?大手10社の取り組み事例まとめ
斉藤雄二
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