不要品が”いざ”を支える。エコリングと埼玉県が災害時応援協定を締結

2025年4月17日、埼玉県庁で株式会社エコリングと埼玉県による「災害時における物資の供給に関する協定」の調印式が行われました。リユース事業を展開するエコリングと県が連携し、災害時に必要な物資を平時から備蓄しておくことで、避難所へ迅速に届ける新しい支援体制の構築が始まります。

備蓄対象となるのは肌着、防寒着、簡易トイレ、おむつ、充電ケーブルなどの生活必需品。これらはエコリングのリユース活動を通じて集められ、日常的に全国の店舗で選別・保管されます。災害が発生した際には、それぞれの店舗が供給拠点となり、埼玉県内の避難所へ物資を搬送する仕組みです。

調印式の席上、埼玉県の大野元裕知事は「“いざ”というときに備えるには、日々の積み重ねが大切です。“まさか”に対応するには具体的なシナリオを描き、想像しにくい事態を想定して準備していくことが欠かせません」と話し、地域の防災体制において「平時の備え」の重要性を強調しました。

エコリング

埼玉県庁で行われた調印式。災害時の物資供給に関する協定に署名する大野知事(右)とエコリング・川端代表(左)

また、エコリングの川端宏代表は全国で300店舗以上を展開する自社ネットワークの強みを活かし、「私たちは何でも買い取るリユース店として、ブランド品だけでなく衣類や日用品も扱っています。こうした店舗を地域の備蓄拠点として機能させることで災害時にも必要な物資を届けられる仕組みを広げていきたい」と語りました。

実際、エコリングではリユースが難しい品物についても適切に資源化した上で、その活用によって得られる仕組みやリソースを防災支援にもつなげています。埼玉県内だけでも現在約25店舗があり、今後さらに出店を進めることで防災体制の面でも地域との関係性を強めたいという意向も語られました。

エコリング

協定の意義や今後の取り組みについて語るエコリング・川端代表。調印式後の取材対応にて

災害時に「何かできないか」と思っても現場では受け入れや仕分けが困難で支援の気持ちがかえって負担になることもあります。今回の取り組みはそうした状況を回避するために、必要な物資を平時から備え、届ける準備を整える新しい仕組みです。

もちろん、すべての不要品が活用されるわけではなく、選別や保管、輸送といった課題もあります。それでも、片づけや手放しの行動が誰かの“いざ”を支える力になるという視点はこれからの防災やリユースのあり方に新たな可能性を示しているのではないでしょうか。

【取材後記】
ものを捨てるのではなく活かす。そんな暮らしの中の選択が、地域と社会を支える一歩になる。

今回の取材を通じて、日常で不要になったものを手放すとき、それが誰かの役に立つかもしれないという視点の大切さを感じました。高く売れないからと不要品を捨てるのではなく、エコリングのようなサービスを暮らしの選択肢として取り入れることで、必要なときに困っている人に必要な物が届く仕組みがあることを、多くの人に知ってほしいと感じました。

【参照ページ】埼玉県と株式会社エコリングの災害時応援協定について
【参照ページ】エコリング 全国の店舗一覧
【関連ページ】エコリング

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Life Hugger 編集部

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