端材から資源へ!福助がリードする足袋リサイクルの可能性

今まで廃棄されていたものをアップサイクルやリサイクルして利用するようになり、Lifehuggerでもこれまでさまざまな取り組みを取り上げてきた。

レッグ・インナーウェアメーカーの福助株式会社は、足袋の製造時に発生する端材を工作機械部品の材料に活用し始めている。繊維商社と合成樹脂基材メーカーとの協業によるリサイクル事業で、今年3月から既に月500㎏の端材を再利用した。

足袋の端材を活用して完成した工作機械部品

足袋には片足につき甲の外側部(外甲)の表生地・裏生地、甲の内側部(内甲)の表生地・裏生地、さらに 足底生地といった計5枚の生地が使われる。これらの生地は何枚にも重ねた原反の上にそれぞれの形の金型を置いて抜き取ったもの。同じ部位の金型でも、足のサイズや甲幅(靴底の横幅の最大値)などによってそれぞれ型の大きさは異なる。リサイクルでは、異なるサイズの型を極力無駄の出ないように1つずつ生地の上に置きながら平圧をかけて抜き取る。

足底を抜き取った後の残布

カット後の残布や端材などは合成樹脂基材メーカーで粉砕、布チップにした後、フェノール樹脂とともに圧縮成形することで、工作機械の部品である工具収納具などに生まれ変わる。このように綿繊維の端材を基材に利用した繊維強化樹脂は、軽量で耐衝撃性などに優れるという。

同社はストッキングや靴下のメーカーとして知られるが、創業時は足袋を作っており、環境保全にも関心が高く、プラスチックの使用量や廃棄物量、温室効果ガス排出量の削減、リサイクル素材の利用促進を積極的に展開している。環境省が行っている「プラスチック・スマート(プラスチックと賢く付き合っていく取り組みを推進し、広げていく活動)」にも19年から参加。靴下やストッキングなどのパッケージに使用しているプラスチック製フックを紙製へ移行しており、25年までにすべての商品での実施を目指している。

繊維製品の製造過程で発生する端材を、衣服や別の製品に活用する取り組みは増えてきているが、インナーや靴下に欠かせないフックの脱プラ化に続き、機械部品としての再利用を開始するなど、同社の取り組みは繊維リサイクルの先がけといえる。

より良い商品を作るためだけでなく、裏でこのような努力をしている企業は少なくないが、こうした取り組みは実際に目にする機会が少なく、知らない方も多いだろう。

何かを購入する際、商品やサービスがどのように作られたかということだけでなく、作り手が取り組んでいる社会的・環境的な活動についても知った上で選ぶようにしてみてほしい。そうすることで、間接的に企業の社会的な取り組みを応援することにつながっていくはずだ。

【参照サイト】環境省 プラスチック・スマート
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Life Hugger 編集部

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