16歳のCFOが考える100年後とは?ユーグレナが本気で目指す未来を描く「SF小説」 4作品を発表

事業が発展するほど社会課題が縮小することを本気で目指す「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」というフィロソフィーを掲げて、事業に取り組む株式会社ユーグレナ。サステナブルな未来のためにさまざまな事業に取り組む同社ですが、このたび”サステナビリティ”をテーマにした文学の新ジャンル 「SF小説(サステナビリティフィクション)」 4作品を制作しました。

2022年12月22日からは同社公式HP内の特設サイトで公開され、さらには同日から2023年1月5日まで二子玉川 蔦屋家電にて作品を展示しています。今回の小説制作を記念して「ユーグレナ SF小説 発表会」が行われました。

ユーグレナ×早川書房による「SF小説(サステナビリティフィクション)」 とは?

2005年創業の株式会社ユーグレナ。藻の一種であるミドリムシ(学名:ユーグレナ)を主に活用し、食品や化粧品の販売、バイオ燃料の研究等を行っているバイオテクノロジー企業の同社ですが、「ミドリムシで貧困問題を解決すると言ったときに『そんなことはできない。空想の世界だ』と多くの人は考えたはず」と、同社取締役執行役員CEOの永田暁彦さんは語ります。

取締役執行役員CEOの永田暁彦さん

しかし、現在は同社の事業によってバングラデシュの子どもたちに毎日1万食ものユーグレナ入りクッキーの提供を実現している現状があります。また、設立当時から石油ではない燃料で飛行機を飛ばすことを宣言していた同社。昨年には日本で初めてバイオ燃料で飛行機を飛ばすことにも成功しました。空想や夢物語だと思われるようなことも現実に変えていると実感しているそうです。

また、永田さんはサステナビリティを取り巻く現状に危機意識を抱いていると言い、「『サステナビリティ』のマジックワード化による思考停止」を指摘。「流行っているから」「やらなくてはいけないものだから」という理由ではなく、未来のために具体的に何をするのかというリアリティや真剣さを持つ必要性を感じていると語っていました。

真のサステナビリティについて考え、何世代も先の未来を予測(空想)し、伝えるために。空想を空想のまま終わらせるのではなく、未来ではノンフィクションにできるように。そんな願いも込めて、そして同社の経営の幅を広げることも期待して、今回の取り組みでは同社の4人の経営陣が自分の専門領域を広げて小説に取り組みました。

ユーグレナ社の経営陣4人が有名作家4人とコラボ

今回発表されたSF小説は4作品です。すべての作品はSF小説に知見のある早川書房協力のもと、ユーグレナ社の経営陣4人が「現代ショートショート」の第一人者である田丸雅智氏をはじめとする作家4人とそれぞれコラボレーションしました。

貧困の博物館

たとえば「貧困の博物館」(代表取締役社長出雲充さん×作家・田丸雅智さん)。SDGsが達成された未来の博物館で展示されている、途上国の暮らしを再現した「貧困体験プログラム」を通して100年後の世界を考え、変えるためのヒントをめぐる物語です。

永田さんによると、出雲さんは貧困をこの世からなくすと本気で決めているので、恐竜のようにかつて地球上にあった過去の遺構としての「貧困の博物館」を作りたいと前々から言っていたそうです。出雲さんが夢見る100年後を垣間見ることができる作品です。

共棲の始まり、そして未来

また、大規模自然災害により傷ついた地球環境の復興支援を使命に向かった宇宙で、主人公の男性が最愛の妻を失ってしまう「共棲の始まり、そして未来」(執行役員CTO鈴木健吾さん×作家・林譲治さん)には、同社の研究開発責任者である鈴木さんが考えるリアルな未来や愛が描かれています。永田さんは「鈴木がなぜ人類のために時間を犠牲にして研究を続けているのかという理由や彼の思いが詰まっている」と評していました。

幸せな長い人生
モラトリアム

このほかには、科学の発展で人類の病がほぼ克服されつつある未来で、いまだに解決できない個人のトラウマについて問う「幸せな長い人生」(執行役員バイオインフォマティクス事業担当高橋祥子さん×作家・菅浩江さん)と、人々が宇宙に移住した未来で遺伝子調整と化学工業が生んだ「電気吸い(エレク)」が登場する「モラトリアム」(永田さん×作家・藤井太洋さん)の2作品です。

16歳のCFOが考える100年後の未来とは

未来のためにできることに本気で取り組む同社。会社として未来を持続可能なかたちに変えていくためには、未来を生きる当事者である世代が経営に参加していくべきであると考え、2019年からは18歳以下限定でCFOを公募。この日の発表会では3代目CFOである2006年生まれの渡部翠さんも登壇。今回は渡部CFOに、サステナビリティや未来についてお話を伺いました。

CFO渡部翠さん

――サステナブルやSDGsについては、これからを生きる若い世代が長年のツケを払わなければいけないという見方もできてしまうかと思います。この点についてはどうお考えでしょうか。

渡部CFO:たしかに大量生産・大量消費のリスクが考慮されずにあった時代が存在するのは事実です。個人的には起こったことは起こったこととして受け止めるように意識しています。情報や流行の移り変わりがどんどん加速しているので、「サステナビリティについては突然言われ始めた」と感じる人が多くても仕方がないと考えます。しかし、私たちも「サステナブルな未来とは何か、私たちの世代で何ができるのか」を、答えがない中で考えて行動しています。ぜひ積極的にサステナビリティ・SDGsについて知り、日常生活のどんな部分に関わってくるのかを想像するところから始めてみてほしいです。

――これからCFOとしてやりたいことや目指す取り組みなど、展望があれば教えてください。

渡部CFO:これからCFOとして目指すことはチーム全員と目指すビジョン達成のため、提言に向けて準備を進めること。高校生をはじめとし、より多くの若者、そして多様な経験を持つ人たちがビジネスと連携することで、サステナブルな未来が実現されることを目指します。

――渡部CFOが考える「100年後の未来、地球」とはどのようなイメージでしょうか。

渡部CFO:私は100年後の116歳まで生きているつもりです。100年後に「自分が生きててよかった」「この社会があってよかった」と思える世界であってほしい。未来には、今私たちが抱えている課題や悩みがある程度解決され、新しい課題があるかもしれない。けれどもそれに向かっていくことを生き甲斐にできる社会だといい。それを創るために100年頑張ろうと思っています。

誰に頼まれているわけでもないのにサステナブルな取り組みをやっている状態にしたい

今回発表された4作品に一貫しているのは、人類を科学技術の力で生物的苦役から解放するというテーマです。永田さんは「100年後にはきっと、その極限値まで近づき、そしてそのときにはすべての人にとっての幸福が訪れてほしい。『100年後って超楽しいよね』と信じることが最もサステナブルだという状態を目指したいと思っています。誰に頼まれているわけでもないのにやっているように、未来に進む力としてサステナブルな取り組みを能動的に前向きな気持ちで行う力に変えていきたい。『未来が暗いからやらなければならない』とはしたくありません」とまとめていました。

フォトセッション

渡部CFOの「『100年間生きていてよかった』と思えるために、今何ができるのか。今抱えている課題や悩みがある程度解決されて新しい課題があっても、それに向かっていくことが生きがいである社会になってほしい。これから100年頑張りたい」というコメントには、若い世代だけではなく、すべての世代が本気でそう思ってポジティブに頑張ろうと思わせられますよね。

今回発表されたSF小説を「そんな未来になるわけがない」と、ただの空想と見なすのか、本気でこうした世界にするために今できることを頑張るのか。小説という媒体だからこそ、よりリアルな未来を垣間見ることができますし、小説発表の背景を掘り下げることで、ユーグレナ社の本気度を知ることができました。

各作品は同社公式HP内の特設サイトで見ることができます。みなさんも空想ではない、現実になるかもしれない未来を覗いてみてはいかがでしょうか。

【参照サイト】ユーグレナ社「SF小説 特設サイト」
【関連ページ】カラハリスイカ、ミドリ麹って何?株式会社ユーグレナが注目するサステナブル素材とは

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Life Hugger 編集部

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