日々の暮らしにいろいろあれど、ちょっとした話や愚痴が言えたり、好きなことの話で盛り上がれる友人と、おいしい食事を囲みながら楽しい時間を過ごせれば、大抵のストレスはリフレッシュできるのではないでしょうか。もし友人が離れた場所、海の向こうで暮らしていたとしても、今はいつでもリアルタイムにメッセージを送って話せる時代です。
そんな大人の「友情」から生まれた連載「海をわたる往復書簡 ハワイー高知」がスタートします。Life Huggerでサステナブルな暮らしの連載コラムを執筆している、文筆家の服部麻子さんと、麻子さんの学生の頃からの友人で、日本人初のホクレアカヌーのクルー、内野加奈子さんによる、コラボレーション企画です。
翻訳者である夫の服部雄一郎さんとともに、ごみを出さない暮らしの実践を紹介するゼロウェイストな暮らしのアイデアや、季節の食材をあますことなく使ったお料理コラム、「あるものでごはん」が好評の服部麻子さん。
高知のご自宅を訪問した際、麻子さんがキッチンにあるものでサッとお料理を作ってくれました。まさに連載中の「あるものでごはん」のコンセプトが体現された瞬間でした。どのお料理もシンプルな調理方法と味付けだけれども、本当においしい!自分でも真似できる、作りたいと思うレシピばかりでした。また、サステナビリティの知見があり、実践経験が豊富な麻子さんとお話する時間は、いつでも笑顔が絶えず、それでいて必ず新しい発見があります。
神奈川出身の服部夫妻が高知で暮らすことを選んだのは、当時、土佐山アカデミーの教育プロジェクトに参加していた加奈子さんのもとを訪ねたことがきっかけ。高知の美しい自然や人々のおおらかで素朴な人柄に魅了され、すぐに移住を決めたそうです。
内野加奈子さんは、ハワイの伝統航海カヌー「ホクレア」の日本人初のクルーです。星や月や太陽、波のうねりや風の変化など、自然からのサインだけを使う伝統航海術で、数千キロの大海原を渡るカヌーです。
加奈子さんにお会いした時の印象は、穏やかで果てしなく広く、深い神秘的な海のような人。「人は持っている能力の半分も使わずに生きている。それは本当にもったいない。もっと自分の中にある感覚を開いていきたい」という加奈子さん。加奈子さんのお話から、真っ暗な海を目の前に、星や月の明かり、潮の匂い、肌に触れる風、波の音などを頼りに、ホクレア号の舵を取り夜の大海を航海する姿を想像し、自分自身の感覚をもっと開いてみたいという思いが湧き上がりました。
常に自分の心と体の声に耳を傾け、真っ直ぐに人生に向き合いながら、地球とともにしなやかに生きる麻子さんと加奈子さん。数十年という時間を経て、あらためて海の向こうの友人に送るそれぞれの言葉の中に、ウェルビーイングな生き方のヒントが見つかるかもしれません。