食器棚の奥にある、ふちの欠けたマグカップ。袖口に小さな穴があいたままのTシャツ。捨てるほどでもないけれど、使うたびに少し気になる。そんなモノが、家にひとつやふたつあるのではないでしょうか。
株式会社博報堂は2026年10月16日、「いいリペア?」という問いを掲げてリペアのあり方を探究するプロジェクト「REPAIRED.Lab(リペアード・ラボ)」を発足したと発表しました。公式サイトと各種SNSを通じて、独自性のあるリペア方法や、リペアを捉え直すコラムを発信していくとしています。
「元どおり」をゴールにしないリペア
このプロジェクトが特徴的なのは、「元どおりに戻す」ことをゴールにしていない点です。ステートメントには「傷跡の肯定、独自の工夫、即興の美学、未知の表現」という言葉が並び、「REPAIRED.」を「いい」と思えるリペアが施されたモノや状態を指す言葉と定義しています。直した跡を隠すのではなく、その跡ごと「いい」と思えるかどうか。リペアの上手い下手ではなく、見方のほうを変えてみようという提案です。
同社によると、モノを直すことは道具の誕生とともに始まった営みで、つくることと同じようにモノへの理解や工夫を生む創造的な行為です。一方で20世紀以降、モノを容易に手に入れ、手放せるようになったことで、直すことで得られる経験やモノとの関係を育む機会が失われてきたと指摘します。そうしたなか、オンラインで道具や素材を揃え、対話型AIを通じて知識にアクセスしやすくなった現在は、新たなリペア行動が生まれる環境が整いつつあるとして、同プロジェクトを立ち上げました。
接着剤と絵の具で、花瓶を金継ぎ風に

REPAIRED.レシピ「Repairing[割れた花瓶]」の完成写真より引用
コンテンツは大きく2種類です。ひとつは「REPAIRED.レシピ」で、独自性のあるリペア方法を動画や記事で紹介します。公式サイトではすでに「割れた花瓶」「Tシャツの穴」「ケーブルの破損」の3本が公開されており、料理のレシピのように難易度と所要時間が添えられています。たとえば割れた花瓶は「Lv2:少しコツがいる」、作業時間は待ち時間を除いて20〜30分。2液性のエポキシ接着剤にアクリル絵の具を少量混ぜ、金継ぎ風に接着する方法で、割れ目から押し出された接着剤がそのまま模様になるという発想です。本格的な金継ぎは材料も時間もハードルが高いですが、こちらは接着剤と絵の具とつまようじがあれば始められます。Tシャツの穴はLv1、作業時間3分。夕食の支度の合間にも試せそうな手軽さです。
もうひとつは「REPAIRED.コラム」で、リペアを捉え直す視点を読み物として届けます。公開初回は、継ぎ接ぎのギターで知られるニール・ヤング、歴史的建造物の保存と更新をめぐるケルン大聖堂、『ひゃくえむ。』の運動靴の3本。身近な修繕から文化財まで、「直す」という行為の幅広さを示す切り口です。その他のコンテンツも順次公開予定としています。
プロジェクトリーダーは、博報堂のクリエイティブディレクター/プロダクトデザイナーの小野直紀氏。2015年に社内プロダクト開発チーム「monom(モノム)」を設立し、2019年から2023年にかけて同社発行の雑誌『広告』編集長を務めた人物です。制作には博報堂プロダクツ、TBWA HAKUHODO、博報堂ケトルなどグループ各社のメンバーも参加しています。
欠けた器や穴のあいた服を前にしたとき、「捨てる」か「買い替える」かの前に、もうひとつの選択肢がある。しかも、きれいに直せなくても構わない。そう思えるだけで、家にあるモノとの付き合い方は少し変わるかもしれません。
参考・出典
- 博報堂、「いいリペア?」を探究する「REPAIRED.Lab」を発足(博報堂 ニュースリリース、2026年10月16日)
- REPAIRED.Lab 公式サイト
- Repairing[割れた花瓶](REPAIRED.Lab)
最新記事 by Life Hugger 編集部 (全て見る)
- 欠けた器、穴のあいた服を「いいリペア」に。博報堂が「REPAIRED.Lab」を発足 - 2026年10月19日
- JUSTYの子ども服買取の送り方と査定の流れ|箱詰めのコツと手放し方 - 2026年10月19日
- コープデリとパルシステムの違いは?手数料の仕組み・加入・エリアを比較 - 2026年10月19日















