京阪本線枚方公園駅より、徒歩4分ほどのところにある「天然酵母 ひねもすぱん」。自家製の天然酵母を使った体に優しいぱんだけでなく、ぱんを焼くのに使う材料の量り売りもされています。環境や体のことを考えたサステナブルな取り組みについて、店主の清生和代さんにお聞きしました。
枚方宿地区に佇む「天然酵母 ひねもすぱん」
ひねもすぱんのある一帯は京街道枚方宿という宿場町。江戸時代に栄えた、大阪と京都の中間地点にある風情たっぷりの界隈です。そんな町並みに溶け込んで建つ「鍵屋別館」の一階に、今回紹介するひねもすぱんが入っています。
誰が食べても美味しいヴィーガンのぱん
ひねもすぱん 清生和代さん
ひねもすぱんのぱんは全て卵、乳製品、動物性食品を使わないヴィーガンなのが特徴。「毎日食べても飽きないシンプルなぱんとおやつ」をコンセプトに、できるだけ体に優しい材料を使ったぱん作りをされています。
天然酵母でヴィーガンのぱんを作るにあたりその理由を「純粋に好きだったからですね」と和代さん。「しかも菓子パンが大好きなんです。よく食べるからこそ体に優しいものがあればいいなと思って、自分が食べたいから作りました。」と笑います。イーストの匂い、バターなど乳製品が苦手、そんな彼女が安心して食べられるパンがなかなか見つからなかったのだそうです。
最初は週一日、レンタルスペースを借りてお店をオープン。このときは上手くいけば嬉しいけれど、行かなくても「趣味の延長として楽しもう」と考えていました。それが蓋を開けてみると、ご自身と同じようなパンを求めていた人が多い事実を知りました。さらにアレルギーを持つお子さんなどの多さにも驚いたそうです。
そこでひねもすぱんでは「誰が食べても美味しくて体に優しいぱん」を目指すことに。「流行っているからではなく、より自然な素材を使うようにした結果、提供するぱんはヴィーガンになっていきました。でもひねもすぱんはあくまで誰にとっても美味しいぱんでありたい」と和代さんは言います。
ひねもすぱんに深みをくれる生きた天然酵母
ひねもすぱんの自家製酵母にはレーズンを使用しています。「ここへ辿り着くまで色々試してみました。りんごやバナナ、大根で作ったときもありましたが、一番安定して酵母づくりに適していたのがレーズンでした」と和代さん。店内に置かれている天然酵母は、プチプチと泡が勢いよく立ち上り生きているのがわかります。
ひねもすぱん・人気トップ3
天然酵母を使ったヘルシーな菓子ぱん、人気のトップ3を紹介します。
1. 「きなこぱん」
たっぷりのきなこ餡がぎっしり詰まっていて、きなこ好きにはたまらない香りと味わい。地元枚方市民の投票により決まる、2021年の「ひらかた もっとセレクション」の金賞を受けています。
2. 「しゃっぽ」
子供の頃に和代さんのお祖母様が「帽子」をそう呼んでいたことから名前が付いた「しゃっぽ」。卵・乳製品不使用のヴィーガン・アーモンドクリームの帽子の下には植物性のキャロブがとろり。チョコレート代わりとしてギルトフリーに楽しめます。
3. 「クリームぱん」
りんごのカスタードが特徴のクリームぱん。もちろん卵・乳製品不使用のヴィーガン・クリームなので、口当たりの軽さが嬉しいですね。
ほかにもココナッツがたっぷりの南国風「ココみかん」や、ベーコンではなく焼きのりを巻き込んだエピなど変わり種も豊富！
発酵した酵母を使ったひねもすぱんは、日にちを置くほど美味しさが増すそうです（4日が目安）。冷凍すると一ヶ月は持つとのこと。トースターや蒸し器で温め直すのが美味しい食べ方です。
ひねもすぱんで使う材料を「量り売り」
ひねもすぱんでは常連さんの希望で、小麦粉を販売したのが量り売りの始まり。「信頼をいただけていたようで、うちで使うものを譲って欲しいとリクエストされたんです」と和代さん。
ご自身が大好きだという小麦粉には特にこだわりがあったのですが、量り売りを始めてさらに産地や栽培法にこだわって仕入れるようになりました。現在、小麦粉は北海道産、全粒粉は栃木産、古代小麦は鳥取産のものを使用。種類によってそれぞれ違う生産者さんから仕入れています。
また、豆や、ミネラルたっぷりの洗双糖、そしてオートミールやココナッツオイル、レーズンなど、できる限り有機あるいは無農薬の材料も量り売りで購入可能です。
「ほかにないからとお客さまからはとても喜んでもらっています。特に儲けを考えず、求めやすい価格に設定しているのも喜ばれている理由かも」と和代さん。
求められて自然と量り売りをサービスに。肩肘張らない、この自然なあり方がひねもすぱんらしさのようです。
持参した容器に入れてくれる
レーズンを購入！
マイ容器でプラスチックフリー！
「Osakaほかさんmap」の掲載店でもある同店では、もちろんマイ容器やマイボトルの対応もしています。量り売りはもちろん、カフェメニューのドリンクもマイカップで購入可能です。またぱんは衛生上の観点から個別包装をして販売していますが、予約をすれば、マイ容器の対応も可能です。
併設のカフェでヴィーガンランチも！
「ひねもすぱんを美味しく食べること」をコンセプトとした併設のカフェもあります。木の素材がふんだんに使われた空間には、小さなお子さんが遊べる手作りのマグネットツリーもあり温かみのある雰囲気です。
こちらで食べられるランチメニューもすべてヴィーガンで、ピザのチーズやクリームチーズ、たまごサンドのたまごも植物性の素材で代用されたものだとか。バーガーやピザなどをギルトフリーに食べられるのは嬉しいですね。
体に優しいヴィーガンのぱんを広めていく
身体に優しいパンを作るようになり、アレルギーに悩む人の多さを知ったため、今後はさらに細分化したアレルギーのニーズに応えていくとのこと。「例えばナッツアレルギーの人もいますし、大豆が無理な人にはオーツミルクで対応など、できることがどんどん見えてきました」と和代さんは言います。
また、ご自身としては「断捨離」をしていきたいと即答。「もともと自分が食べたいぱんを作ったことが始まりなので、ひねもすぱんが広がってくれたら本望ですね。ですから例えば、私の頭の中にあるレシピを「断捨離」して公開する、希望があれば教えに行くなど、どんどん『体に優しいぱん』を広めていきたい。持っている知識や情報を伝えて手放したら、頭の中がスッキリする。そうしてどんどん自分の中をスッキリさせて、ゆくゆくは自然豊かな場所に移り住むのもいいですね」とにこやかに答えてくれました。
和代さんの「好き」から始まったひねもすぱんは、天然素材で作られたぱんや量り売りなど、そのサステナブルな取り組みでたくさんの人に喜ばれています。カフェのメニューも豊富なので、枚方の歴史ある界隈を散歩する際には、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
Osakaほかさんマップ利用情報
- ひねもすぱん
- 対応容器タイプ：マイ容器、マイカップ
- 所在地：大阪府枚方市堤町10-24 鍵屋別館 102
Googleマップ - 詳細情報：https://www.osaka-hokasan.jp/spot/3ftdru5q2llagru/
【関連ページ】ゼロウェイストなお店が集まる「Osakaほかさんマップ」とは？大阪府の担当者に聞いてみた
mia
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