「こんな依頼主は嫌だ」現役スタッフが語る家事代行のリアル

家事代行スタッフの座談会

家事代行スタッフとして働く5名の方にお集まりいただき、カジフル(現・Life Hugger)主催で座談会を開催しました。「働く時間を短くして収入を維持できた」「こんな依頼主は嫌だ」お仕事に関して伺う中で知った家事代行のリアルをお伝えします。スタッフになろうとお考えの方はもちろん、普段家事代行サービスを利用している方もぜひご覧ください。

参加者プロフィール

  • Sさん:50代 / 女性 / 既婚 / 品川区
  • Nさん:40代 / 女性 / 既婚 / 渋谷区
  • Aさん:50代 / 女性 / 既婚 / 大田区
  • Mさん:50代 / 女性 / 既婚 / 多摩地区
  • Iさん:50代 / 女性 / 既婚 / 品川区

以前の収入のまま、働く時間を短くできた

– 家事代行のお仕事を始めたきっかけは何でしょうか。

Sさん:50代になり人生で何かをしたいと思い立って始めたのが、品川区の社会福祉協議会での有償ボランティアでした。1時間800円で各家庭に出向き、ご老人のお世話をしていました。そのボランティアを通して感じたのは「家事でお金がもらえる」ということ。次は会社としてサービスを提供している会社で働いてみようと、とある家事代行サービスで仕事を始めました。

Nさん:私はフルタイムの仕事ができなかったので、空いている時間にできる仕事を探していました。家の近くで民泊物件の清掃のお仕事を見つけたのですが、経験がなかったため結局不安で断念しました。そんな中タウンワークで研修ありの家事代行・民泊清掃会社の求人にたまたま出会い、早速応募して研修に参加しました。

Aさん:前の仕事は夜遅くまでやっていたのですが、子供が2人いるので、短時間で働ける仕事を探していました。収入は維持したいという思いがあったので時給の高いところを探している中で、家事代行の仕事を見つけました。

– 家事代行の仕事に切り替えてから収入は維持できていますか。

Aさん:働き始めて2ヶ月経つのですが、収入は想定通り入ってきているので続けています。以前は22時まで働いていましたが、19時に帰れるようになり、子供のご飯もちゃんと作ってあげられるようになりました。

Iさん:私は以前、出版社に勤めていました。もう少し時間の決まった仕事をしようと思い、家事代行を始めました。

Mさん:学校を出てからすぐ結婚して、会社勤めを経験しないまま50代になりました。結婚式場で鍵盤楽器の奏者としてのアルバイトはずっとしていたのですが、母の他界をきっかけにブライダルの仕事が精神的に辛くなり、休業していました。2016年の12月に、観劇が共通の趣味の友人に家事代行の仕事に誘われて、「主婦の経験も活かせる」と思って始めました。

– 1日何件、週何日くらい働いていますか。

Sさん:ほぼ毎日です。物件に行くのに小一時間かかることもあるので、行ったところの近くでもう何件か入るようにしています。移動時間は収入にならないので。

Aさん:収入を求めているのであれば複数件入った方が良いですね。依頼は新宿・渋谷など主要都市周りが多いので、一度出て来たら複数件入ります。1日3件が理想ですが、4件の時もあれば1件の時もあり、結構バラバラです。

Nさん:それに、移動距離が長いと身体的にも疲れますよね。私は先ほど言った通り、フルタイムでの仕事が合わないと思っていたので、基本的に1日1件だけ入っています。

Mさん:私は初めの頃は週1件程度でしたが、少しずつ仕事の勝手を覚えてきたこともあり、最近は1日2件も働くようになりました。

ライフスタイルに合わせて働けるのが魅力

– どういった依頼が多いのでしょうか。

Sさん:掃除機がけ、お風呂場やトイレなど水回りの掃除が多いです。たまにシーツの交換などはあります。

Nさん:確かに水回りは多いですが、意外とキッチン掃除は少ないですね。あとはアイロンがけも多いです。洗濯物は乾燥機を使う方が多く、あまり干したりはしないです。

– 料理の依頼はありますか。

Sさん:以前はやっていましたが、大変なので今は受けないようにしています。買い物は依頼主がしてくれ、ある具材の中から希望に応じて作ります。料理の依頼は受けられる人の方が少ないのではないでしょうか。

Nさん:料理の依頼は多いです。1週間分の作り置きをしてほしいといったものです。受ける人もフードコーディネーターなど料理の得意な方が多い印象です。

Sさん:作り置きは1人暮らしの女性の方から依頼があったことがあります。お子さんがいるところでは、お弁当を作ってほしいと言われることもあります。

– この仕事の魅力を教えてください。

Nさん:前職は朝5時起きで帰宅が24時前くらいでした。家賃を払っているのに5時間しか家にいない状況。飼っている猫の面倒も見れないのが嫌でした。そんな時、2時間〜3時間と短時間でも働けるというところに惹かれてこの仕事を始めました。お子さんが小さい、あるいは介護をしている方にとっては長時間家を空けなくて良いこの仕事は向いていると思います。

Iさん:中にはお子さんを連れて仕事をされている方もいるみたいですね。

Nさん:そうですね。子連れ可と募集しているところもあります。

Sさん:自分の気分でできるのが良いです。気分が乗る時はサッと一気に沢山働いて、乗らない時はゆったりするようにしています。

Nさん:スーパーのレジ打ちのパートなども週5日とかになってしまいますし、シフト制だと休みたい時に周りに迷惑がかかってしまいます。

Sさん:あと、急激に活動範囲が広がりますよね。

Nさん:本来は家が大好きなのですが、電車で色々なところに行っているうちに外出が好きになってきました。乗ったことのない路線、見たことのない景色が楽しいです。

– 逆にここ嫌だなというところはありますか。

Sさん:交通費は出るところと出ないところがあります。出るところでも一律数百円なので、カバー範囲は広くありません。

Aさん:私は往復400円で行けるところをできるだけ選ぶようにしています。

Mさん:私も新宿・渋谷あたりに出るだけで片道300円〜400円かかってしまうので厳しいです。

Iさん:2件行く時はその物件同士の距離も重要です。交通費も移動時間もかかるので。

研修がほとんどない場合も

– スキルや資格は必要なのでしょうか。

Sさん:スキルは特に必要ないと思います。私の場合、会社が新しかったこともあり、ほとんど研修がありませんでした。別のスタッフに1日だけ同行してもらって、サポートを受けながら2名で作業。その翌日から1人で業務をするようになりました(笑)

Aさん:私は採用面接の時に、以前にホテルの清掃員をやっていたと伝えたら、その要領でやれば大丈夫だと言われました。実際は、ホテルの清掃と家事代行では要領が違う部分もあり、初めは大変でした。

Nさん:私も全くといって良いほど研修はありませんでした。それは社員などではなく委託として働いていたためです。委託だからこその自由もあるので、その辺は一長一短ですね。

– どのような方がこの仕事に向いているのでしょうか。

Nさん:家事は普段からするものではあると思いますが、仕事としてやるととても学びが多いです。

Sさん:私も依頼主が付きっきりで掃除をする案件があるのですが、その案件はとても勉強になります。

Nさん:家事が嫌いでなければ大丈夫だと思います。あとは、私の場合フルタイムの仕事が性に合わなくてストレスを感じていたのですが、そういった方にも家事代行の仕事はとても合っています。

Sさん:自由ですよね。嫌なところは行かなければ良いので。

Nさん:向こうも選べる、そしてこちらも選べる、それが良いですね。

老若男女が利用している

– 利用者はどんな方が多いのでしょうか。

Aさん:一般的になってきてるとはいえ、富裕層の方が多い印象です。今行ってるお宅は夫が税理士法人をやっている家族で、子供が3人います。もう一つのお宅は、子供が生まれて半年くらいのご家庭で立派な一軒家です。

Sさん:私が入らせていただいているところは一人暮らしの若い方が多かったです。男性・女性に関わらずです。

– みなさんどういったシーンで使用されているのでしょうか。

Aさん:定期とスポットだと定期の依頼が多いです。

Sさん:スポットの場合は、まず試しでやられている方が多いと思います。

Aさん:スポットで依頼されるところは、やることがとにかく多いです。限界がきたんですかね(笑)

Nさん:私はシェアハウスの共用部分の清掃を依頼されたことがあります。一応住民がローテーションで掃除をすると決まっているみたいですが、自分の番の時に頼んだみたいです。

Iさん:私も勝どきのシェアハウスは経験があります。そこもローテーションでしたが、毎回それぞれが家事代行を依頼してましたね(笑)

Nさん:今度、目黒にある私の母親くらいの年齢の老夫婦のお宅に伺います。以前はできていた家事もできなくなってくるみたいで、椅子に上がらないとやれない窓拭きや電球変えなどの依頼です。足元がぐらついて怖いとのことでした。

Aさん:とても汚いか、とても綺麗かのどちらかです。

Sさん:一軒家は汚いところが多く、マンションはなんで依頼するのか疑問に思うほど綺麗なところが多いです。

Aさん:汚いお家は、綺麗にしても1週間後にはまた同じ状態になっています(笑)

Sさん:一方で、綺麗なお家は本当に髪の毛一本落ちてないこともあります。綺麗すぎると、掃除した証が残りにくいので逆に大変です(笑)

家事代行は、あくまで「代行」である

– 依頼主からされると嬉しいこと、あるいは嫌なことはありますか。

Sさん:依頼内容を細かく指定してくれることもあるのですが、大体オーバーワークになります。絶対やってほしいこと、時間があったらやってほしいことを分けてもらえると嬉しいですね。あとは、お宅にある道具で掃除するのですが、道具がない場合も多いです。そういうこともあるので、最低限必要な掃除道具は持って行くようにしています。そして、次回以降は用意してもらえるように依頼主にお願いします。

Aさん:掃除機がとても重たいご家庭があり、それを持って別の階の掃除もしてほしいと言われるので、大変です。多分自分でやったことがないからだと思います。そういうところは次から行きたくなくなります。

Nさん:私もそれがすごく怖いです。実際にやったことない方から、2時間でこれやってくださいと沢山依頼されることがあるのですが、じゃあ一回自分でやってみてくださいって思います。ただ単に依頼主がやることを代わりにやるというサービスなので。

Sさん:私たちがすることは「代行」です。依頼主が1時間かかることは私たちでも1時間かかります。

Aさん:私もお風呂場の天井のカビを取ってと言われたことがありますが、そんなの無理です(笑)結局色々試したのですが、取ることができず、諦めました。

Iさん:やはりそれで良いのですね。私もそれが怖くて、家事代行ではなく民泊物件の清掃を主にやっています。お客さんはピカピカになることを期待しています。

Nさん:私も同じようなことで一度怒られたことがあって、依頼主のことが尊敬できなくなってしまいました。お互いリスペクトし合える関係が理想ですね。

The following two tabs change content below.

Life Hugger 編集部

Life Hugger(ライフハガー)は暮らしを楽しむヒントを紹介するウェブマガジンです。消費や暮らしをサステナブルな方向へと変えていきたいと考えている人に向け、サステナブルなライフスタイル、丁寧な暮らし、子育て、農と緑、健康、家事、レジャーなどに関する情報を紹介しています。
InstagramTwitter