リフト券に寄付を上乗せ「POWチケット」、全国17スキー場へ 滑り手がゲレンデの脱炭素を後押し

雪山のゲレンデを走るリフト

そろそろ今シーズンの板を出そうか、という季節になりました。リフト券を買うとき、ほんの少し金額を上乗せするだけで、そのゲレンデの脱炭素や森林整備を直接応援できる——そんな選択肢が、この冬さらに広がります。

気候危機から「冬を守る」活動に取り組む一般社団法人Protect Our Winters Japan(POW JAPAN/長野県大町市)は2026年9月3日、寄付付きリフト券「POWチケット」が2026-27シーズンに全国17スキー場・7都道府県で導入されると発表しました。3年連続の拡大で、新たに宮城・群馬・新潟・長野・岐阜の6スキー場が加わります。

リフト券に寄付を上乗せする仕組み

POWチケットは、リフト券を買うときに寄付を選べる仕組みです。集まった寄付金は全額が、そのスキー場が定めた再エネ導入や省エネ化、森林整備といった取り組みに充てられます。特徴は、使途が事前に公開され、シーズン終了後に寄付額と成果が報告されること。「寄付して終わり」ではなく、どのゲレンデで何に使われたのかを滑り手自身が確認できる設計になっています。

新潟・長野の7スキー場から始まった取り組みは、2年目の2025-26シーズンに11スキー場へ拡大。のべ1,726人(前年比44%増)が参加し、寄付総額は1,312,900円(同62%増)となりました。

スキー場

3年目の今季、新たに6スキー場が参加

今季から加わるのは、みやぎ蔵王七ヶ宿スキー場(宮城・七ヶ宿町)、たんばらスキーパーク(群馬・沼田市)、池の平温泉アルペンブリックスキー場(新潟・妙高市)、野沢温泉スキー場(長野・野沢温泉村)、高鷲スノーパーク・ダイナランド(岐阜・郡上市)です。

導入の背景には、現場が抱える危機感があります。池の平温泉アルペンブリックは、小雪の影響でオープン日が遅れたり営業終了が早まったりすることへの危機感から導入を決めたと説明。高鷲スノーパーク・ダイナランドは、環境啓発イベントを通じて来場者が将来の自然環境に不安を抱いていると知ったことが、スキー場と客が一緒に取り組める仕組みづくりにつながったとしています。

さらに今季は、19〜22歳のリフト券が無料になる「雪マジ」と連携した「雪マジPOWチケット」も本格展開されます。昨季に一部スキー場で試験的に導入したもので、対象を広げることで、若い世代が滑りながら気候変動に目を向けるきっかけをつくる狙いです。

寄付が形になる——再エネ、コンポスト、間伐材のベンチ

寄付金の使い道は、ゲレンデごとに異なります。電力の脱炭素化に充てるスキー場が目立ち、今季は舞子スノーリゾート(新潟・南魚沼市)がゴンドラの冬季使用電力を100%再エネに切り替える計画。戸隠スキー場(長野市)は山頂行きのメインリフト、ニノックススノーパーク(新潟・新発田市)はナイター照明の電力を再エネ化します。網張温泉スキー場(岩手・雫石町)は、グリーン電力証書を使って全リフトの電力を再エネで賄う「再エネ100チャレンジデー」を、昨季の1日から7日間に拡大する予定です。

廃棄物や地域循環に向かう動きもあります。かたしな高原スキー場(群馬・片品村)は、希望するゲストにコンポストバッグを配り、ふもとの自社農園「ミッフィー農園」での野菜交換につなげる仕組みを進めており、寄付と同額をスキー場側も拠出します。エイブル白馬五竜(長野・白馬村)は昨季、寄付金で導入した生ごみ処理機の運用を開始し、一般家庭約50世帯の年間排出量に相当する生ゴミを処理。今季はグリーンシーズンの整備で出た木材の再活用に進みます。

間伐材でつくられた屋外のベンチ

象徴的なのが、森林整備に取り組む白馬八方尾根スキー場(長野・白馬村)のベンチです。スタッフの発案で、間伐材を使った手作りのベンチをチケット売り場の近くに設置しました。運営会社の担当者は、「皆さんの寄付でつくられたのがあのベンチです」と直接案内できることがスタッフの誇りになっていて、客にとっても寄付の行き先を想像しやすくなった、と手応えを語っています。

この冬、滑りに行く人にできること

POW JAPANが運営するネットワーク「サステナブル・リゾート・アライアンス(SRA)」には、2026年7月時点で全国49のスキー場が加盟しています。POWチケットを導入しているのは、そのうちの17。言い換えれば、広がりはまだ途上です。

とはいえ、滑り手の側にできることはとてもシンプルです。いつものリフト券をPOWチケットに替えるだけで、そのゲレンデの脱炭素や廃棄物削減、生物多様性保全を直接後押しできます。この冬の行き先を決めるとき、お気に入りのスキー場が参加しているか確かめてみてはいかがでしょうか。

なお、参加スキー場や取り組み内容はシーズン開始前の発表時点のものです。券種や販売時期はスキー場ごとに異なるため、利用前に各スキー場およびPOW JAPANの公式情報を確認してください。

【参照記事】

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Life Hugger 編集部

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