リンナイの世界5か国の共働きに関する意識調査で日本が家事を分担していない国1位に

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「銃犯罪の少ない国」「治安の良い国」などをテーマにアンケートをとれば、圧倒的に1位に躍り出る日本は世界的に観ても暮らしやすい国なのではないでしょうか。逆に日本の持つ暮らしにくそうなネガティブイメージとして女性の立場が弱いかのようなイメージがありますが「女性活躍」は日本の成長戦略の中核を担っており、現在では共働き夫婦も増加傾向にあります。そんななか、リンナイ株式会社が行った「共働き」に関する意識調査において、日本は「家事を分担していない国」というランキングで1位という結果でした。

調査は日本(東京)、共働き夫婦が少ない韓国(ソウル)、ナニー(住み込みの乳母さん)文化が浸透しているアメリカ(ニューヨーク)、共働きが主流のドイツ、ワーク・ライフ・バランス先進国であるデンマーク、5か国の30~49歳の男女計500名を対象に行われました。

共働き夫婦の1日の時間配分について、家事時間が最も長いのはアメリカ、最も短いのはドイツでした。アメリカと日本の家事時間の差は1週間で5時間にもなります。睡眠や夫婦の時間はドイツ、デンマークが最も多く、いずれも少なかった日本と韓国は、仕事時間に多くの時間を費やしているという結果になりました。

今回の調査で日本は、1日の時間配分の中に夫婦の時間が最も少なく、また、5か国の内で最も家事を分担せず、配偶者(パートナー)からの家事に対する協力度の評価も男女で最も点数差がある(一方に家事負担が偏っている)国という結果になりました。他の国とどれくらいの差があるのかというと、世界5カ国で約8割が「夫婦で家事を分担している」と回答する中、日本は56%。家事に対する協力度の男女の点数差はアメリカ2.06に対し、日本は24.06と10倍以上でした。

では、仕事に時間を割く日本や韓国の男性が家事を全くしないのかと言うと、そういうわけでもありません。食事の片付けに関しては日本と韓国の男性は世界的にみても積極的に参加しているようです。ちなみに好きな家事、嫌いな家事はどの国も似通っており、好きな家事は各国「料理」が1位。嫌いなものは各国「掃除」「食事の後片付け」が上位でした。また、男性の家事スキルは、5か国すべてで自己評価がパートナーからの評価を上回る結果になりました。

これは、ポジティブにみれば信頼の高さが伺えますが、ネガティブにみれば「日本の男性は家事ができるのに、敢えて積極的にはやらない」ということになります。実際、家事をすることが好きかを調査し各国男女別で結果を見たところ、家事が好きな男性は「アメリカ」9割、「デンマーク」、「ドイツ」7割、「日本」5割、「韓国」4割という結果になりました。日本と韓国だけ、著しく家事が嫌いかのように思えますが、「韓国」は「アメリカ」や「ドイツ」と並んで女性より男性の方が家事が好きという結果です。

日本の男性はどうしてこんなにも家事を嫌うのでしょうか?立命館大学産業社会学部教授の筒井淳也氏は以下のようにコメントしています。

日本の家事は(食事の準備を含めて)少しハードルが高いのかもしれません。実際、家事を効率化するために「お惣菜や野菜等の定期宅配を利用する」と答えている人は、日本が最も低いという結果になっています。

確かに日本では「デリバリー=手抜き」というイメージがあります。さらに言えば、時間をかけて料理をしたにも関わらず夕飯が「カレー」や「鍋」だと手を抜いたような気持ちになります。調査においても、家政婦やベビーシッターの利用者がアメリカで8割以上と積極的であるのに対し、日本ではたったの1割に留まり、さらに8割以上のアメリカ人男性が過去に育児休暇を利用したことがあるのに対し、日本ではたったの12%強でした。人に任せたり、効率的な制度を利用することに抵抗を感じる人が多いことが伺えます。

どうやら、日本人は男性も女性も、共働き家庭に対する意識が低く、家事の要求水準が異常に高いために、家事の効率化を生活に組み込むことが苦手なようです。「仕事をしない主婦が完璧な家事・育児をこなす」ような1970年代的な社会環境は失われつつあります。フルタイムで共働きの夫婦は、女性も男性も仕事・家事・育児に追われて余裕がない生活になりがちです。完璧な家事よりも、家事の効率化にシフトチェンジする必要があり、その中では男性の協力も必須となります。

今回の調査では配偶者(パートナー)のことを好きかどうかの調査も行っています。この結果によると5か国すべての国で「家事を分担している夫婦」の方が、配偶者(パートナー)のことを好きと答える人の割合が多かったそうです。大変な家事を分担しあうことは、慌しく過ぎていく日々の生活の中で、夫婦のコミュニケーションを円滑にする手段にもなっているようですね。本格的な共働きの社会へは道半ばの日本にとって、見習うべきところなのではないでしょうか。

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(Life Hugger編集部 平井 真理)

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Life Hugger 編集部

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