食用コオロギから抽出した調味液使用のパスタを食べてみた!昆虫食の今をレポート

イトーヨーカドー綱島店にある自社運営のケーキカフェ兼食のセレクトショップ「eeets hall(イーツホール)」では、徳島大学発のベンチャー企業である株式会社グリラスが、食用コオロギから抽出した調味液「グリラスエキス」を使用したパスタメニューを2022年9月28日から提供しています。

販売初日の9月28日には新メニュー試食会が行われ、グリラス担当者による社会課題の解決策としての食用コオロギに関する説明が行われました。今回はその様子と、実際に食用コオロギから抽出した調味液を使ったパスタを試食した感想をお伝えします。

株式会社グリラスが挑戦するコオロギ×テクノロジー

株式会社グリラスは徳島大学発のベンチャー企業。徳島大学で30年間にわたってコオロギの研究を進めてきた知見や、大量養殖のノウハウを商品開発や販売に生かしています。

同社のセールスマネージャーである竹本裕政さんによると、同社が解決したい社会課題はふたつなのだとか。ひとつは現在の人口増加ペースでは、2030年に動物性タンパクが枯渇していくと予想されていること。そしてもうひとつが未活用で廃棄される食品廃棄物の問題です。

そもそも昆虫全般に言えることですが、コオロギは他の動物性タンパクよりも圧倒的に環境にやさしく、効率的に養殖ができるのだそうです。牛肉を作るためには穀物や水、メタンガスが大量に必要となりますが、コオロギは効率よく、養殖が可能。メタンガスもほとんど発生せず、新しい牧場を切り開く必要もありません。また雑食性の生き物なので、食品廃棄物になってしまった食品をエサとして食べさせることができます。

また、コオロギの糞は畑などの肥料にして新しい植物を作ることも可能。同社はこうしたフードサイクルによって生産されたコオロギを循環型食品「サーキュラーフード」として展開しているのだそう。「動物性タンパク不足と食品ロス、両方の問題を同時にアプローチできる可能性を持っているのがコオロギタンパク」だと語りました。

無印良品とのコラボや国内初の機内食導入

一方でコオロギタンパクの展開には、「昆虫食」そのものに対する世間的なネガティブイメージがつきまといます。すでに欧米を中心に昆虫食はサステナブルな食生活として認識されつつありますが、日本国内においてはまだまだハードルが高いことも事実。

そこで同社は昆虫食の一般化のために、他の事業者も巻き込んで事業を展開することで、より大きな成果を得ることを意識。昆虫食や食品ロスに取り組む企業の数は年々増えていますが、各々がそれぞれの方法で取り組んでいるために大きな成果を得にくい側面があるからです。

また、研究から生産、加工、企画、開発、販売までを一貫して行っているため、消費者からのフィードバックを得やすかったり、トラブル対応にいち早く対応できたりするメリットも持ち合わせています。「コオロギが当たり前になる世界を目指して推進していく」と、竹本さんは同社のビジョンを語っていました。

2019年5月に設立された同社ですが、コオロギの一般化に向けた快進撃を展開中。2020年5月には株式会社良品計画との業務提携によって、無印良品から「コオロギせんべい」を販売。2021年2月には第2弾となる「コオロギチョコ」も販売しました。

2021年6月には自社ブランド「C.TRIA(シートリア)シリーズ」をローンチし、コオロギ由来の栄養素が配合されたクッキーやチョコプロテインバー、カレーなどを展開。今年6月には都内のコンビニで新シリーズが販売開始されています。さらに2022年7月には、国際線専門の格安航空会社・ZIPAIR Tokyo(ジップエア トーキョー)にて、食用コオロギを使用した機内食が国内で初導入されるなど、着実に食用コオロギの認知度を高めています。

魚醤のような風味でおいしい「グリラス 和風パスタ」

一方で竹本さんからは食用コオロギに関して、まだまだ小売店からスナックを販売する方法にとどまっている現状も語られました。そのため飲食店でコオロギメニューを味わえる機会を増やすなど、食用コオロギを食べる場所や食べ方を広げていきたいと意気込みを述べていました。

そうしたなかで、今回イトーヨーカドーとのコラボが実現。株式会社イトーヨーカ堂の新規MD開発部シニアマーチャンダイザーである池田貴彦さんによると、10年前からコオロギの食用のニーズに関する情報は海外から仕入れていたのだそうです。そんななか、BtoBの展示会で株式会社グリラスと出会い、社会課題の解決に関連する取り組みに感銘を受け、今回のコラボが実現しました。

今回開発された新メニュー「グリラス 和風パスタ」(単品:1,210円、サラダセット:1,320円)は、魚介に似たフタホシコオロギのうま味が詰まった万能調味液「グリラスエキス」のみで味付けをした、コオロギの魅力を存分に堪能できる和風パスタです。

コオロギ収穫後や食べる前に洗浄・殺菌して出るエキスを濃縮した「グリラス調味料」は、ミネラルも豊富でいろいろな食べ物に合わせやすい万能調味料。魚介のような魚醤に近い味わいで、プロの料理人からも「お出汁とそん色なく使える」と太鼓判を押されたこのエキスだけを使ってメニューを開発しました。

実際にパスタを食べてみると、コオロギを使っているとは思えないほど、何の臭みもなく、おいしい和風パスタの味に驚きます。ほんのり魚醤のような香りが漂いますが、ナンプラーのような強いクセもないので、とても食べやすかったです。

しめじやほうれん草、ジューシーな雲仙ハムなどの具材の旨味が引き出されていて、グリラス調味料の万能さを実感しました。「コオロギを使っている」と言われなければ、まったくわからないレベルですし、単純においしい和風パスタとして楽しめました。

実際に食用コオロギを体感してそのおいしさを知る機会に

池田さんによると、イトーヨーカドー綱島店にあるこの「eeets hall」は、お店で食べたものが買えたり、買った物をお店で食べられたりするという、グローサラントの形態を取ったカフェ。メニュー提供だけではなく、物販コーナーでは「C.TRIAシリーズ」のコオロギパウダーを使ったお菓子やカレーも販売します。「グリラスさんは消費者一人ひとりにコオロギの可能性やタンパク質の将来性をアプローチしている。味がわからない、おいしくなさそうというイメージも先行しているので、ここで実際に食べてもらって購入してもらいたい」と語っていました。

今回パスタを試食してみて、改めて食用コオロギの可能性やおいしさを実感しました。みなさんもイトーヨーカドー綱島店に行った際には「グリラス 和風パスタ」を食べてみてはいかがでしょうか。そしてこのパスタに使われている「グリラス調味料」はグリラス公式オンラインショップで購入することもできるので、ぜひチェックしてみてください。

【参照サイト】グリラスオンライン

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Life Hugger 編集部

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