発酵時間はたったひと晩、手軽に作れる「ひと晩発酵みそ」を作ってみた!

「みそは朝の毒消し」、「みそ汁は不老長寿の薬」などのことわざからもわかるように、みそは古くから日本人にとってかかせない食品です。暑い夏には効果的に塩分補給ができ、寒い冬の季節には冷え切った身体を温めてくれるみそ汁を、毎日の食卓に欠かせないと感じている日本人は少なくないでしょう。

そんな便利でおいしく栄養豊富なみそですが、市販されているものの多くは、プラスチック製の容器に詰まった状態で売られています。みそは毎日使っている家庭も多く、使い終わったプラスチックごみに頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回はみそを家で簡単に手作りできるレシピをご紹介します。みそは材料を無駄にすることなく、手作りすればほとんどごみを出さずに済むゼロウェイストな食品です。

みそ作りと言えば、一般的には気温が低く、雑菌が繁殖しにくい冬に仕込み、翌年の夏頃にようやく食べられるイメージがあります。しかし、今回ご紹介する「ひと晩発酵みそ」は、わずかひと晩(約6時間から8時間)の発酵時間で完成するもの。下準備と合わせても1~2日程度で作ることができます。

ひと晩発酵みそとは

ひと晩発酵みそは料理家の榎本美沙さんが考案した、発酵時間を大幅に短縮して作ることのできるみそです。通常みその発酵には半年ほどかかりますが、炊飯器で保温して作ることで、酵素が働きやすくなり、名前の通り発酵時間がひと晩で済みます。

下準備を合わせても1~2日程度で作ることができ、簡単に栄養豊富な発酵食が出来上がります。発酵時間が短いのでカビが発生する心配もなく、味噌作りが初めての方や、仕込んですぐに食べたい方、失敗せずに作りたい方などにはもってこいのみそです。

ひと晩発酵みその特徴

ひと晩発酵みその良さは、たったひと晩の発酵で作れる手軽さだけではありません。うまみとやわらかな甘み、ほどよい塩気を持ち合わせた調味料で、さまざまな特徴があります。

塩分控えめ

減塩をすると腐敗のリスクが高まってしまうため、通常みその塩分濃度は10%前後に達します。それもひと晩発酵みそは発酵時間が短く、カビの心配もないため、5%程度と塩分が少ない点が特徴です。そのため、みそを多めに使っても塩気は程よく、みそのうまみや栄養素がたっぷり詰まった料理に仕上げることができます。

料理のおいしさをアップ

みそは発酵する過程で、大豆のたんぱく質がうまみ成分のグルタミン酸などに分解されます。また、みそには麹由来のたくさんの酵素が含まれていて、そのうちのひとつであるプロテアーゼにはたんぱく質を分解する効果があり、肉や魚と合わせることで素材がやわらかくなるのです。

身体が喜ぶ健康効果

大豆は昔から「畑の肉」といわれるほどたんぱく質が豊富で、必須アミノ酸をバランスよく含む良質なたんぱく質です。食物繊維やビタミンB群、酵素や抗酸化物質など、身体にとって有益な栄養素が豊富に含まれています。そのため、ひと晩発酵みそは腸内環境を整えたり、血圧をコントロールしたり、さらには免疫力アップや老化予防など、うれしい効果がたくさんあります。

ひと晩発酵みその作り方

誰でも簡単に作ることができるひと晩発酵みその作り方はいたって簡単で、普通のみその作り方とほとんど変わりません。材料は米麹、乾燥大豆と塩のみです。

まずは、大豆を水に入れて浸水させ、その大豆を茹でます。

ひと晩発酵みそ 大豆

発酵しやすくするために、米麹をフードプロセッサーに入れ、細かくくだき、塩を加えてさらに攪拌し、ボウルに移します。さらに、先ほど茹でた大豆をフードプロセッサーに入れてペースト状にして米麹のボウルに入れたら、手でつぶすようにしながらこねます。

ひと晩発酵みそ こねる

大豆のゆで汁を少しずつ加えながら、さらに混ぜます。片手で握れるくらいの量を取り出し、空気を抜きながら丸め、炊飯器の内釜に詰めていきます。

ひと晩発酵みそ 濡れ布巾

ここからが普通のみそ作りと異なるところで、炊飯器を保温にし、内釜をセットします。濡れた布巾を2枚重ねてふた代わりにし、ふたを開けたままの状態で6~8時間おきます。時間が経ったら木べらやしゃもじなどで混ぜて完成!すぐに食べられます。できた味噌を一口食べてみましたが、塩分控えめでそのまま食べてもおいしく、口の中に甘じょっぱさが広がります。

ひと晩発酵みそ 完成

完成したみそは清潔な保存容器に移し、冷蔵庫で保管します。1か月ほど保存できるそうですが、あっという間になくなってしまいそうです。

今回は大豆を使って作りましたが、ひと晩発酵みそは青大豆や黒大豆のほか、浸水のいらないあずきや豆を茹でる必要さえない「おから」からも作れるそうです。榎本さんにどの豆で作ったものが好きかと伺ったところ、「どれもおいしくて甲乙はつけがたい」とのこと。どれもおすすめですが、特に大豆、あずき、おからの3種類で作ってみて、味の違いを楽しんで欲しいそうです。

ひと晩発酵みそを使ったレシピ

本にはひと晩発酵みそを使ったレシピがたくさん紹介されていたので、いくつか実際に作ってみました。

まずはひと晩発酵みそを使った、具たくさんのお味噌汁です。白みそに近い風味で、優しい甘さが口いっぱいに広がります。野菜のうまみとみその甘みが混ざり合っていて、ホッとできる味わいでした。

ひと晩発酵みそ 味噌汁

ひと晩発酵みそを使い、鶏肉とれんこんの炊き込みご飯を作ってみました。ひと晩発酵みそ以外に醤油とお酒を使って味付けをしたのですが、みその優しい甘さが醤油によく合うのです。鶏肉とれんこんのうまみが引き出され、温かい状態はもちろん、冷めてもとてもおいしくいただくことができました。我が家の子どもたちにも大好評で、4合炊いたご飯があっという間になくなってしまいました。

ひと晩発酵みそ 炊き込みご飯

次に子どもと一緒に作りやすいスクランブルエッグを作りました。こちらの材料は、卵とひと晩発酵みそのみ。みその甘さと卵の甘さが絡み合い、ほんのりと味がついているので、何もつけなくてもおいしくいただくことができました。材料も少なく、混ぜて焼くだけと簡単なので、お子さんがいる家庭は一緒に作ると、より楽しめるかもしれません。

ひと晩発酵みそ レシピ 卵

最後に我が家で一番人気だったメニューが、ひと晩発酵みそを使って作ったプリンです。「みそを使ったプリンってどんな味になるのかな?」と、半信半疑で作ってみたのですが、ミルクティーのような味わいで、甘さの中にはみその塩気もあってとてもおいしく、子どもたちからも大好評。元々容量を倍にして多めに作ったのですが、その日のうちになくなってしまい、次の日に再び作ることになったほどです。

ひと晩発酵みそ プリン

このほかにもみそ汁やみそを使ったおかず、常備菜やドレッシング、発酵調味料の作り方など、さまざまなレシピが紹介されており、どれもおいしそうです。

みその手作りというと、時間も手間もかかりそうですが、今回ご紹介したひと晩発酵みそは1~2日間ほどで完成します。みそ汁だけではなく、さまざまな料理の味を引き立ててくれる調味料として活用できます。

また、みその材料には捨て部分がなく、まるごと使い切ってしまうので、ごみはほぼ出まません。これからの寒い季節には、ひと晩発酵みそを使った料理で、身と心を温めてみてはいかがでしょうか。

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Life Hugger 編集部

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